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Back Number 『ミスティック・リバー』
スペシャル・レポート 出演者が語る『ミスティック・リバー』! 2004/1/16
クリント・イーストウッド監督の『ミスティック・リバー』は、各賞レースに必ず顔を出して
いて、アカデミー賞の最有力候補となっています。というのも、人間描写が緻密なことで有名
なデニス・ヘルインの原作を、『LAコンフィデンシャル』のブライアン・ヘルゲランドが脚本
にし、主役の幼ななじみ3人にショーン・ペンとティム・ロビンス、ケビン・ベーコン、そし
てローレンス・フィッシュバーン、ローラ・リニー、マーシャ・ゲーハーデンを起用したのだ
からあたりまえ? ちなみにケビン以外は、アカデミー賞のノミネートか受賞歴があります。
先日発表された米放送映画批評家協会賞で、見事主演のショーン・ペンとともに助演男優賞を
手にしたティム・ロビンス。この役をゲットした経緯についてクリントは、「彼から是非とい
う電話があった」と言っていますが、彼は「呼ばれてランチしただけ」と。プライドがあるの
かな? 主役はペンですが、幼少期に性的虐待を受けたトラウマを持ったまま大人になったデ
イブを演じている彼の演技も、「経験者に話しを聞いた」だけのことはあって、かなりリアル。
一番可哀想な役という気がしますが、原作者曰く「それが、彼の幸せの結末」だそうで、答え
はありません!
ところでティムはとにかくデカイ!そして理知的でこちらを鋭く洞察している気がして、ドキ
ドキしました。個人的に『デットマン・ウォーキング』の大ファンなので、「また監督を!」
とお願いしましたが、「4人の子供を食べさせなきゃいけないから、当分は役者に徹する」っ
て。役を選んでいるのもあるでしょうが、「役者も楽じゃないんだ」と痛感したのでした。
ケビン・ベーコンは殺人課の検事(ショーン)に扮しています。ショーン・ペンとティム・ロ
ビンスだけが賞レースで騒がれていますが、妻と別居中で心に傷を持った検事役もなかなかの
もの。
「役者だから、どんな役でもこなす」と言いながら、インタビュー中にテーブルに足をのせち
ゃうあたりが、他の2人との差なのでしょうか!? でも3人の中では一番感情を表に出せない役
なので、目立つのも演技も難しい役なのも事実。はっきり言って、あの2人の演技力が凄すぎ
です。
ところで、トロント映画祭でも話題になった『イン・ザ・カット』のことも、ちょっと聞いて
みました。「ジェーン・カンピオン監督にニコール・キッドマンなんてすごいメンバーだし、
本当にワクワクした」と言っています。作品中ではかなり個性的な役を演じていましたが、
「本音はマーク・ラファエロの役(主役)をやりたかった」のに、自分にオファーが無かった
ので、「ノー」って断ったとか。でも「脚本が素晴らしかった」しジェーンやメグ・ライアン
とう素晴らしい人達と仕事ができるってことを考えたら、「どの役じゃなきゃダメ」なんてチ
ンケな考えは捨てるべきだと思い直したそうです。はっきり言って、あの変な役は合っていま
した。
地味でメークが薄い役柄が多いローラ・レニーは、スクリーンの中では35才という実年齢より
老けて見えますが、実際はとってもかわいく知的な女性です。『目撃』で娘役を演じて以来、
クリント・イーストウッドとは2度目のお仕事。クリントから彼女のエージェントに電話が入
り、即効で了解したそうです。今回はショーン・ペンの妻で、彼を陰ながら支える芯の強〜い
女性アナベスを演じていますが、「自分との共通点はない」役だとか。
父は舞台の脚本家で父方の祖母も女優。現在の母親は主婦だそうですが、父親の前妻は女優、
その娘で腹違いの姉はエディターと、芸術一家のようです。『ラブ・アクチュアリー』にも出
演している彼女は、最近超多忙だそうで、「唯一の気分転換は、友達との電話」だとか。今は
仕事一筋で「その為に、他が犠牲になるのは仕方ない」と割りきっているようです。ちなみに
映画を良く見ているようですが、最近の一押しは『ロスト・イン・トランスレーション』!と、
カンパツいれずに答えてくれました。
デイブ(ティム・ロビンス)の妻セレストを演じているマーシャ・ゲイ・ハーデン。
『ポラック 2人のアトリエ』で助演女優賞を手にした彼女は、すこしカップクが良いお母
さんタイプ(!?)でもあります。彼女はこの作品を、「最近はいきなりしゃべり出してガンガ
ン音楽が鳴って、感動もしないまま終る映画が多いけれど、これは普通に暮らす“人間”を
描いた素晴らしい作品よ」と大絶賛しています。
作品中では夫と息子がいますが、実生活でも5才の娘とご主人がいる彼女は、この役を実生活
に置き換えて演じたようです。とにかくこの作品の出演者達は「どう考えて演じたか」を絶対
に教えてくれません。「考えを押しつけることになる」というのがその理由なのであえて曖昧
に言いますが、彼女は「例えばご主人とか子供が罪を犯したのを知ったら、自分はどうするか?
とっても悩み迷っても答えは出ないかも知れない。でも警察に届けないから悪いとは言いきれ
ないのが人間なのよ」と深い事を言っていました。とても考えさせられる映画です。
ところで彼女は、父親が軍の仕事をしていた関係で横浜に住んだことがあるらしく、私が日
本人だとわかると超感激!? いきなり「雨雨降れ降れ、母さんが〜♪」と歌い出したときに
は、かなり驚きました。
(NY在住 ライター・沙羅美)