日々のムカツキ

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Vol.1 〜 Vol.10

『アンブレイカブル』のオチ mukatsuki-file Vol.1 (2001/2/21)

拝啓陽春の候 みなさんは話題作『アンブレイカブル』をご覧になりましたか?私は見ました。

まあー、ムカついたムカついた。あのオチはなんやねん! ていうか。なんでアレに気づか
ない? 私は責めたね自分を。自分のバカ! だいたい私は推理小説を最後のページから読む
ような堪え性のない女なので、当然オチを聞いてから見たのだった。なのにすっかりだまされ
た。オチを知ってることをすっかり忘れ、お宝コミックスのアップに「なにかヒントがっ」と
目を凝らし、レストランでの夫婦の会話を暗記し、鏡みたいな映像になにか秘密があるのかと
思考した。ああ疲れた。

しかしもっとムカついたのはおおかたの反応だ。「前作に比べつまらんオチですな」「あれは
ないでしょ〜」試写会帰りの会話はだいたい誰もこんなカンジだった。じゃあ聞く。

あんたら気づいたんかいっ!素直にならんか素直に。生唾をごくりと呑み込む音(←by私)が
鳴り響くほどしーんと静まりかえってみていたくせに〜。きーっ(←血圧上昇中)。

オチが映画のすべてではないと思う。その経過をどれだけ楽しめるかも評価していいんじゃな
いのか? 私は、今回の仕掛けは前作よりずっと洗練されていると思った。面白かったのかと
問われれば、じゅうぶん楽しんだ。もういっかい、今度は新宿あたりの劇場で見るだろう。観
客の反応も楽しみのうち、そんな作品だと思うから。



早瀬啄木ラーメン日記 mukatsuki file Vol.2 (2001/02/28)

 つれづれなるままに……ってそれは啄木じゃなかったか。まあいいか。私はオールアバウト
な北海道人なので許してください。大阪出張中なので出張中の話をつれづれに書こうと思いま
す。
 私はラーメンが大好き。我が心のラーメンは札幌「味の三平」(母が私を妊娠していたとき、
もー、ラーメンが食べたくて食べたくて食べたくて毎日毎日食べてたそうです。だからきっと
DNAに書き込まれたのでしょうね)、東京「はつね」(西荻時代は日に2回ずつ食ってた)、盛
岡「中河」、名古屋「味仙の台湾ラーメン」……とこう来てなぜか大阪には心のラーメンが存
在しない。今回の出張は、パソコンを使いまくる関係で、事務所のみんなが活動している昼間
は比較的ヒマ。いっちょ大阪の心のラーメンを探そうじゃないかと意気込んでのぞみに乗車。
 なんとお隣が家田荘子さんだった。
 ずいぶん昔、うちの会社で出していた雑誌に原稿を書いてもらったことがある。お礼言おう
かどうしようか、でも人違いだったらチョー恥ずかしいとかなんとか考えやめておく。

 家田さんはご自慢の金髪が映える、まぶしいほど純白のダウンコートを着ている。私もまっ
たく同じようなデザインのダウンコートを着ている。でも私のはドスグリーンと自ら呼んでい
るドスのきいた緑色。ついでにいえば髪の毛はボサボサで、白髪と茶髪とのびてきた黒い地毛
の絶妙なアンサンブル。
 大昔、家田さんが週刊文春に登場した頃は、彼女もアラレちゃん(若い人、知ってますか?
)メガネに黒髪の短髪で、私はよく似てる似てると言われていたのだ。いつ・どこで私と家田
さんは純白とドス緑に振り分けられたのか。などと人生について深く考察する。

 そうそう。そんで評判の駅弁「21世紀出陣弁当」を食べてムカっと来たのだった。
 まずくはない。が、味が濃い。煮付け、佃煮、唐揚げ、味つきゆで卵、トコブシを柔らかく
炊いたやつ……と強い味のおかずが延々と続き気の休まるヒマがない。ついてるご飯がこれま
た味の濃いおにぎり3つ。バランス悪すぎ。白いご飯も入れてくれよと心の中で毒づきつつ全
部食べたら眠くなって爆睡モードへ。
 目がさめたら家田さんがサインを求められていた。にこやかに応じる家田さん。やっぱ家田
さんじゃん。しかしいまさら話しかけるのもナンなので寝たふりをしているうちに大阪へ着。
 
 タクシーに乗る。運転手さんはメグ・ライアンのファンだという。大阪弁のイントネーショ
ンで「メグちゃん」(グが上がる)を連発するので心の中でウケまくる。できれば「メグはん」
ぐらい言ってほしかった。
 話の流れでつい映画関係の仕事であることを話してしまう。そしたらこう来た!

「USJ(大阪にできるユニバーサル・スタジオのこと)できまっさかい、お客さんもうかって
もうかって笑いがとまりまへんなぁ」

 違う〜〜〜! 
 笑うもなにも、もうかってまへんがな! どっちかっていうと泣きたいよ私。でも説明する
のが面倒でへらへら笑ってやりすごす。。USJと私がやってる仕事は同じ映画でもほとんど無
関係。だいたいついこの間までユニバーサル・スタジオってワーナーが経営してるとばかり思
ってたぐらいで。しかしなあ。世間の人ってこんなふうに私のことをみてるのね(やや被害妄
想)。
 USJができたら映画業界は活気づくのだろうか。こんな風に小ムカツキを繰り返しながら私
の出張&ラーメンライフは続くのだった。
 え? ラーメンはどうしたかって? それは次回へ。スマヌ。



早瀬啄木ラーメン日記その2 mukatsuki file Vol.3 (2001/3/4)

 ……で、ラーメンはどうしたかっていうと、ミナミは戎橋付近の有名店「金龍」で真夜中に
まず1杯。ここは非常に想い出深い店でして、タクシーの運転手さんに連れられて、初めて来た
のが10年ぐらい前。ルイ・ヴィトンのバッグを股にはさんで、キレイなねーちゃんがかきこむ
かきこむ、ラーメンを。いやあ驚きましたねえ。大阪女のパワーに触れた瞬間でした。味のほ
うは、美味しいんだかマズイんだかよくわかんない味。ただその勢いある風情がなんとも美味
なお店。当時は500円で、500円玉をぺしりとカウンターに置いて受け取る1杯がうれしかったな
あ。ホント。 久しぶりに訪れた「金龍」本店はがらがら。券売機が設けられていた。味は…
…空いている金龍っていうのはやっぱりあまり風情がよろしくないや。ニラキムチめいっぱい
入れてかきこみました。値段は、忘れちゃった。だいぶ値上がりしていたような。

2月28日水曜日
 ファイルメーカーのスクリプトに取り組む。気分はシステムエンジニア。でもしょせん素人
の悲しさ、プロなのは気分だけなのですぐ煮詰まる。気分転換に日本橋へ。 ライターを忘れ
たことに気づき、100円ショップへふらふらと……気づけばお代は5000円超! いやあ〜ん。私
のばかばか! 皮むき器だのあかすりタオルだの三角コーナーの袋だの1回使ったら二度と使わ
なさそうな色のマニキュアだの、情けないラインナップのお買い物に心から落ち込む。しかし
「丸めやすく鉄板を傷つけない先丸タコピン」は我ながらいい買い物をしたと自画自賛。タコ
ピンって、たこ焼きを焼くとき返したり刺したりする千枚通しみたいなやつのことです。我が
社のたこやき事業部部長・Hくん、キミへのみやげはこれだ。

「うどん」の3文字に心惹かれながらラーメン屋を探すが、カレーのにほひに負ける。心のラー
メンはどうしたんだ!……結局カレーを食べる。しかも心の片隅の「うどん」の3文字が離れず
夜中に「きつねどん兵衛」に取り組む。関西バージョンのどん兵衛はおつゆの味が違うという
ことに改めて感動。このことを知った20数年前、あたいの人生これからいったいどうなるんだ
日本はこんなに広いのに、と神戸の安ホテルで(←受験旅行中)しみじみ考え込んだことを懐
かしく思い出す。結局大学に行かないどころか、受験料もガメてパチンコ(まだ手打ちの時代)
に興じた日々。そのお詫びに今さら両親にとても優しい私。親孝行ですねと言われると心が痛
む。

……つづく。



洋画の邦題にもの申す mukatsuki file Vol.4 (2001/3/8)

ザ・ウォッチャー
ザ・セル
ザ・カップ〜
ザ・クリミナル
ザ・コンヴェント
ザ・スカルズ〜
ザ・メキシカン
ザ・デリバリー
ザ・ダイバー
ザ・ホソカワ

 いや、最後のはウソですけど。
 サ行の袋の段がいっぱいになってしまいましてね。わたしは心の中でこういうタイトルの映
画を「ザもの」と呼んでいる。おかげさまで頭はごちゃごちゃ。さっきも「ザ・クリミナル」
の原稿を書くために「ザ・コンヴェント」の資料を抜いてきちゃってムッと来たところです。
まあ、そのぐらいは歩けという神の思し召しか。
 洋画の邦題については、あれこれ論議がさかんなようですが、私はなぜかなんにも思わない。
映画心づいたときに、既に邦題のセンスが衰退していたから? かもねー。これ以上サ行が増
えなければ、なんかどうでもいいや(←なげやり)。そういえば最近、漢字二文字の邦題が少
ない気がしますけど。使い切っちゃったのでしょうか。

「もの申す」とか大きく出た割に……な話ですみません。社長はちょっと疲れ気味ざんす。
 ラーメン日記は次回へ繰り越し。



彼女を見てわかったこと mukatsuki-file Vol.5 (2001/3/18)

ちょっと話が前後して申し訳ない。
むかつく話はたくさんたまったいるので徐々にお聞かせするとして、久々に映画の話をしよう
と思います。これを書いたのはずいぶん昔(といっても今年の話)ですが。

楽しみにしていた『彼女を見ればわかること』を観た。内容は、まあ、いわゆる「よくできて
る」(←エラそう)作品で、人生にちょっとつまづいた感を抱いてる女性がいたらそっと枕元
に置いといてあげたい感じの一本なのだが、私は「あること」が気になって気になって、つい
に集中することができなかった。

それは、ホリー・ハンター(『ピアノ・レッスン』の人)の化粧だ。

この映画にはちょっとくたびれかけた年齢の女性たちが出てくる。名だたる演技派女優がそれ
ぞれの役割をきっちりと演じているのがスゴイところで表情アップが多用されている。ホリー
は、銀行の支店長さんという役。一見なにげないナチュラルメイクなのだが、あるシーンでそ
の「ナチュラル」がものすごいメイクテクのうえに成り立っていることがわかる。

ひえー。
す、すごい。
アイメイクって、こうやるのか。

私が彼女を見て「わかったこと」はまさにこれだ。
はっはやく真似した〜い。

ということで事務所に戻りさっそく真似してみました。

…………(絶句)

なんとなく「ですます」調になってしまいました。
いや、別に映画の内容にムカついてるわけじゃないんですけどね……。

※彼女を見ればわかること:http://www.gaga.ne.jp



麹町清掃事務所との果てしなき抗争  mukatsuki file Vol.6 (2001/3/21)

 私はこの数年麹町清掃事務所と壮絶な闘いをえんじている。
 私の余生はこの闘いとともにある(去年までの生き甲斐・母校の勇姿を甲子園で見るまで死
ねない、というのは去年の夏に果たしたので。←自慢)。

 古くは当社が「燃えるゴミ」として破棄したなかに燃えないビニルがあったとかなかったと
かいう問題。んなこと言われてもわかんないも。書いてないんだも。燃えるかどうか試してか
ら捨てろってのかよ。なんたってゴミは「燃やすゴミ」と「燃えなさそうなゴミ」にしか分類
しない馬鹿っ主婦・早瀬(41)。

 そして平成8年頃勃発したのが、事業ゴミシールを貼った貼らない問題。売り言葉に買い言
葉で「じゃあ今後、生活ゴミは徹底して分類し事業ゴミには1ミリリットルも混ぜませんから
覚えておおきっ」と高飛車に言い放ったものの、面倒で面倒で……。今でも深夜、スタッフが
帰宅したあとの事務所でひたすらゴミを分ける私。タバコの箱は生活ゴミか否か。仕事に必要
なものといえばそうかもしれず……こんなことに頭使ってる場合じゃないと思うんですけど社
長としての責任を感じるわけ。ていうか自分のまいた種なんですけど。

 そんなくじけそうな心を励ましてくれた一本が『東京ゴミ女』という映画でした。分ける分
ける。好きな人のゴミを一心不乱で分類整理する主人公が本当にけなげ。けなげという印象を
他人に与える生き方っていうのは、まあ私には無理な相談ですけど、なんとなく心が温かくな
ったことは確か。
 結構当たるんじゃない? と思いきや、ひっそり公開されてすぐどっかに行ってしまった。
なんで? と資料を見たらこれ「現代女性の愛を描いたシリーズ」なんだってね、知らなんだ。
同じシリーズが今やってる三池監督のワケわからん映画『ビジターQ』。とても同じシリーズ
だとは私思えませんけど。

 試写で見るのと、劇場へ行って見るのって、こういう気分の違いは大きいと思う。「気鋭の
監督が現代女性のライフスタイルや愛を鋭く描いたシリーズ」とかなんとか言われると必ずや
「けっ」と思って振り向きもしなかったに違いない。別にこの映画にムカついてるわけじゃな
いんですけどね。今日もゴミの分類をしていてふと思い出したので書いてみました。使用済生
理ナプキンの分類には悩んじゃいますよね! シートの下のポリプロなんとかってのは燃えな
いんじゃないのかな、あれは。



忙しいときに限って mukatsuki file Vol.7 (実はちょっと前の話)

忙しいときは、人々との摩擦係数もなんとなく高くなり、さまざまなもめごとが起きるものだ。
いろいろと心を痛めている渦中、よりによって夫が倒れる。

管がたくさんついた夫を見て泣きたい気持ちになる。
これは天罰だ。(バチが当たったのは私である)
看護婦さんは、だいぶ遅れ、しかも手ぶらでのこのことやってきた私に「このヘボ妻が」とい
う視線を投げかける(当たり前だ)。しかし私はロッカーのドアの前に付き添い用のベッドが
あってドアが開けないことに腹を立てているのでそれどころではない。洗面台の高さが低すぎ
るの、ドアの開きがおかしいの、付き添いベッドがギーギーうるさいの、ひととおり腹を立て
たところで、もうすることがなくなってしまう。ケータイはもともと使わないからいいとして、
パソコンもダメというのがつらい。ああ、退屈だ。

「ここのご飯は美味しいよ」と、20年前自分がこの病院に入院したときの経験を語る。
「肉じゃがのジャガイモをキャベツにしたやつと、鶏のみぞれ煮は要チェック。あ、あとおか
ゆについてくるふりかけが三島食品だよ」とさらなる情報を。どこまでいっても情報まみれの
俗な自分に落ち込む。

うちの夫は私に100をかけてさらにぎゅっとひねりを加えたような超偏屈者だ。ぐったりして
いるいまはともかく、ちょっと元気になったときが恐ろしい。こんな状態でありながら、看護
婦さんが「待て」と言っているのに「暑い」といって無理矢理Tシャツを脱ぐ(点滴の管が絡
まり大騒ぎ)。暑いというから暖房を切れば今度は「寒い」(ぐったり疲れる私)。この先が
思いやられる。

かいご

の3文字がぐるぐると頭をかけめぐる。アカシアの道……。

輸血の容器が空になりかけ、焦る。空気が入ると大変だとかなんとか『おたんこナース』で読
んだような気がする。どっどっどうしよう。そうだナースコールとかいうやつだ。枕元にたく
さん器具があってよくわからないが、20年前のかすかな記憶を頼りにこれぞというものを押す。

「……それは電気のスイッチだ」

聡明な妻は、どんなときにも笑いを忘れないものだ。

『老親〈ろうしん〉』を観逃したことを心から悔やむ。と同時にねちねちとヒロインをいじめ
ていた『アカシアの道』のクソばばぁの顔が夫にダブる。映画は他人の人生をかいま見ながら
自分の人生をシミュレーションできるものだ。



プレス資料虎の穴  mukatsuki file Vol.8 (2001/5/9)

弊社では、映画資料を角1の封筒で整理している。だいたいのプレス資料がこのサイズにぴっ
たりで案配がよい。だからこのサイズの封筒に合わないプレス資料は私のムカツキの対象にな
ることしばし。

じゃあB4サイズがデフォルトの20世紀FOXの映画なんて相当ムカついてるかと思うでしょ。残
念でした、折るから平気。FOXの映画のプレスは折りやすい紙だから大丈夫。しなやかな対応
って感じですよね。『スターリングラード』みたいに厚い紙で大きいと、結構ムッと来ます。
が、これはB4定型なので縮小コピーでポン、ですよ。ま、縮小すると老眼の私には読むのがと
ってもきついので、無理やり折って重い灰皿で折り目をごしごしこすっちゃったりなんかして、
そんでもってポン、ですわ。

ところがあるんですね、どこをどう指定したらこういうサイズになるのかっていう「惜しい変
型A4サイズ」っていうのが。サイズとともに厚みも問題あるんだけど。最近では『DB』(公
開前なのでイニシャル)がそうです。一応納まるのですが、原稿だ校正だとあと数回出し入れ
すれば袋が崩壊することは必至。ほんのちょっとの差なので折るのもくやしいしコピーとるの
もめんどくさいし、まあ、たぶんこれはコケるのだと「変型サイズのプレス資料をつくる映画
は当たらない」原則にのっとり考察したりなんかするわけだ。大コケってわけじゃなかったけ
ど『ハイ・フィディリティー』もイマイチだったのはあんなサイズのプレスつくるからさ。

去年の秋口、この『DB』と同じように「一応入るんだけど出し入れには差し障る」プレスが存
在した。毎日毎日毎日、セロテープで袋を補強しながら私はつぶやいた。「こんな映画コケる
がよい!」……呪いが効いたのか、この作品は前評判が非常に高かったのに興行的には今ひと
つであった。穴だよ穴。穴の映画。同じプレス持ってる人ならわかるよね。あ、今気づきまし
た。ヘンなサイズのプレスの作品がコケる、というよりは、この呪いの“気”が波動になるの
かもしれませんね。なわけないか。

まあ、そんなこと考えながら今日も古封筒に目張りをして再生作業に励む私です。



へんしゅう入門(前編) mukatsuki file Vol.9 (2001/5/28)

自分的に全然わくわくしない夏の大作「サルの惑星」あ、いけないこういう書き方はイケナイ
のです。正しくは『PLANET OF THE APES 猿の惑星』。これがまたやってくれましたよ。ます
ますワクワク度低下、見たい度氷点下500。

この横文字の副題だけでもムカついている、私は。いつもいつもいつも「さ」行の資料袋を探
して「なんでないのぉ〜」と泣きたくなり、「さるの〜」でデータベース検索かければ見つか
らず。「なんでDATAが消えちゃったのぉ〜」と叫びたくなる昨今。

そこへ追い打ちをかけるようなこの仕業。この作品は場面写真の用意がなく、すべて画像DA
TAなんですと言われ、焼き込んだCD-Rを渡された。

ムカッ。

時代の流れということで、ということらしいが私は納得できません。なんでか。このCD-R
を他の作品と同じ流れに乗せるために私がしたことは以下の通りだ。

1)CDの読めるパソコンへ移動
2)そのパソコンを起動する
3)そのパソコンにはフォトショップが入っていないことに気づきまた移動
4)フォトショップが入っているノートブックを起動する
5)ハードディスクにCDの中身をコピー。
6)やっと見えた画像をプリントアウトしようとしたら「サイズが大きすぎる」とアラート
7)リサイズして印刷
8)小さすぎて絵柄がわからないのでまたまたリサイズ
9)この調子で6〜8を繰り返すこと数回(10枚ぐらいあった)
10)その間「メモリが足りない」だ「システムエラー」だの言われ、パソコンを電源から引っ
こ抜いてばーんと投げつけて壊したい気持ちに陥る
11)うっかりして1枚、リサイズしたまま「保存」してしまったのでまたまたCDからコピー
12)印刷したものにファイル名をメモする
13)画像を1枚ずつフロッピーに入れようとしたところで、このノートブックはCDをつなげて
いるとフロッピーディスクっつーものが使えないということに気づき一度電源を切る
14)CDの機械をフロッピーの機械に入れ変えて再起動する
15)フロッピーディスクに1ファイルずつ整理して入れ、ラベルシールを貼る

……で、他の作品の写真と一緒にあれこれ「並び」を変えたり「見せ方」を工夫していくのだ
が(コンテを起こすという作業)、こいつだけが違和感を持っていて、どうもうまくイカンのよ。
だいたい写真の大きさが他と違うというのが生理的にとってもイヤ。他の作品の写真は袋に番
号ぺっとか書いてぽん、てなもんなのに、こいつだけは手順12で印刷したものをコピーして番
号書いて、フロッピーを用意する。めんどくせー。(後編へ続く)



へんしゅう入門(後編) mukatsuki file Vol.10 (2001/5/29)

(前号までのあらすじ)更年期障害でなにごとにも腹を立てやすいハヤセしゃちょうは、『猿
の惑星』もとい『PLANET OF THE APES 猿の惑星』の場面写真がすべて画像DATAだという
ことに腹を立てているようです、こわいですねえ。何度もバカな失敗を繰り返し、ようやくプ
リントアウトに成功したようですが……さあ続きはどうなるのかな?


……これ(前編の手順1〜15を参照)を読むと「もっといい方法がある」だ「ランでつなげ」
だ言いたいことのある人はたくさんいることでしょう。わかってますとも。しかし、理由があ
るのだ。とくにネットワークについては、諸事情にかんがみ必要最低限に絞っているのだウチ
の会社は。会社というのはいろいろあるのだ。

また、前編を読んだ方から「他の写真をスキャナで取り込めば画面で並べて見るのは簡単です
よ」というアドバイスも頂戴した。ありがとう。しかし「スキャナで取り込む」ってだれが?
いつ? どこで? 他の写真って200枚以上あるんですけど。その中から使う写真を選んで組
み合わせるという作業をしてるんですけど。

それよりなにより、私は「手を動かすこと」を非常に大切にしている。

体で覚えたことは忘れにくいのだ。昔々OLだった頃、勤めていた編集部にはコピーがなく、
別の場所にとりにいくのが面倒なときは写し書いた。そのときの文章の切れ端を私は未だに鮮
明に記憶している。「かっちょええ表現やなあ」(なぜか関西弁)という感銘と、動かしている
手がなにかしらの化学反応を起こし、頭のどこかに書き込まれたのだと思う。

だからコンテは今でもエンピツで描く。何度も何度も何度も描く。失敗すると消さなくちゃな
らないので頭の中で練り回し、想像力を最大限に発揮する。小さい写真をルーペで覗き「これ
が大きくなったとき」を考え抜く。このときに、また新たな、別の方向の創造力が湧いてくる
のです。きらり〜ん(←効果音)。想像が創造を生むと、小笠原流の小笠原先生は言っていた。
うちの母も言っていた。

こうしてコンテには、きらり〜んと浮かんできた見出しが書き込まれ完成する。ライターさん
に原稿をお願いする。あがってきた原稿がもくろみ通りのものだったときは、心密かに「ふっ
ふっふ思惑通りだ」と怪しくほほえむのだ。それが私の、編集者としての喜びだ。

時代の流れか。そうなってくると他の作品も画像DATAしかもらえないのだろうか。ヤダな
あ。私は見たいときにすぐに手にとって見たいのだ。写真をさわりたいのだ。コンテの上にポ
ジを並べて、あれこれ考え消しゴムで消して書き直したいのだ。

これは時代の流れというよりも、時代の先端だと思う。100匹目の猿。猿だけに。101匹目か?
しかし、それこそ時代の流れから考えると、映画の娯楽性は「古さ」を楽しむところに妙味が
あるという気がしないでもない。実際古くさい。業界紙なんか未だに「小屋」(←映画館のこ
と)だし「写真」(←作品のこと)だし、『ハイ・フィディリティ』のこと「青春ロック映画」
って説明してたし。

経費の節減? じゃあお聞きしますけど、1〜15の間にかかった私の2時間の給料はどうなる。
事業ゴミをどっか別の会社に送りつけるようなものではないのか(ちょっと喩えが……)。
※東京は事業ゴミが有料なのです。

そんなに時流に乗ったり経費を節約したいなら、叶姉妹ご出席の完成披露なんてやめんかい。
試写会に呼びつけずホームページで映さんかい。時流に乗ってストリーなんとかいうやつで。
ついでに言うなら映画館なんて廃止して有料ダウンロードさせんかい。

1〜15の手順を踏みながら、これは私がやるべき作業なんだろうかとふと思った。違う気がし
た。ましてや、編集者がどんどんただのパソコンいじりの人になっていくのは、なんか違うと
思う。だいたい、昔あれほど苦労して勉強したBASICやDOS語を使うことは最近全然ないではな
いか。私のPC98ってドコ行ったんだっけ。まだこの指が覚えているクォークのショートカッ
トをどうしてくれよう(最近全然使わない)。無駄な時間だったとは言わんが、んなことして
る間に映画の一本も観に行けたよな、ぐらいのことは思っている。



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