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Vol.11 〜 Vol.20
外交おだいじん mukatsuki file Vol.11 (2001/6/5)
“ベトナム”のことを調べている。
本筋の調べものは別のことなのだが、『夏至』というベトナム映画のなかで「タニシ」をとて
も美味しそうに食べるシーンがあり、ついでにそのことについてぜひ詳しく知りたいと思った。
ベトナム料理の本を見る、料理大図鑑を読む、食材事典を探す、貝殻図鑑をひく(なんか違う
……)、昆虫図鑑を調べる(すごく違う……)
結局よくわからないのでベトナムの人に聞こうと思いつく。
そういう調べものをするとき、私はインターネットなんて使わない。だってつなぐのがめんど
くさいんだもん。常時接続にしろって? いやいやそんなに世間って甘くないの。世の中には
ね、工事もままならない地域ってのがあるの。いろいろと大変なんですよ、みなさん。
ま、いいやとにかくまずは手元の「情報源」をひもとく。この本は糸川英夫編集のなんでも事
典のようなものでして、いろんな事項の専門家・専門取り扱い機関・会社の電話番号が載って
いる。yahoo!のようなものですね。違いますか。
「“ベトナム”のことなら」
おお、あったあった。「日本ベトナム友好協会」というのが載っている。これはいい。大使館
より親切そう。だがこのボタンの掛け違いがのちに私を苦しめることになる(←『模倣犯』風)。
電話をかける。めんどくさそうな声のオジサンが出たときからちょっとイヤな予感がする。
「あの、ベトナムについて調べている者なのですが、そちらさまではそういった関係の資料を
扱っていらっしゃるのでしょうか」
自分と思えないほどていねいに尋ねる。
「あーありますけどうちは会員制でしてね」
ぎゃふん。だめか。
「……であなたどんなこと調べてるの」
なんだ救いはあるのか。
「いえあの、ベトナムの食生活についてなんですが」
「だからどんな」
「あのそのえっと(急にしどろもどろ)……タニシの食べ方なんですが」
「タニシぃ?」
そんな声を出すこと、ないじゃないですか。しかしまあ、返ってきた答えがふるっていた。
「……ベトナム人に聞いてよ」
へっ?
そういう人がまわりにいないからアンタに電話したんだよっ。だいたいどの人がベトナム人か
見てもワカラン。
まあ久しぶりにこういう「感じの悪い応対」に遭った。近年まれに見る不親切さ。こんなで日
本とベトナムの友好が保てるとは思えない。
「大使館ってなんだかうさんくさい」。最近の風潮によりなんとなく私はこういう思いこみを
していたのだ。いや過去形でなく、いまもなお。いままで大使館の不親切さにどれだけ泣かさ
れてきたことか。いやツマランこと聞くこっちが悪いのかそれは。ダチョウの卵の大きさだと
か、フランス人形はフランスにも存在するのかとか。アンタは探偵ナイトスクープか。思い出
すだに恥ずかしいけど。とにかく友好協会に冷たくされても大使館に聞くのはなんとなくヤダ。
マキコ大臣、ファイトです。
そしてどなたか、タニシの味つけを教えてください。アクとか、とるのかね。
しまいにゃどつくぞ!(前編) mukatsuki file Vol.12 (2001/6/20)
私は男女区別主義者なので、きれいな女の子が食べ物を「めし」と呼んだり、「うまい」とか
言ったりするのが非常に不愉快だ。
それから箸をちゃんと持てない人とは食事をしない主義だ。だから田中康夫長野県知事と食事
をすることは一生ないだろうと思っている。
そんな私は、その日いそいそと渋谷に向かっていた。とっても観たかった試写が渋谷の試写室
であるので、カワイイ女の子たちの「めし食ったらどーするー」「あそこの店うぜぇしー」な
どという会話には耳をふさぎながらいそいそと歩いていた。
でも着いたのがちょっと早すぎた。仕方なしにラーメン屋に駆け込む。これが失敗だったんだ
なあ。思えば私の人生、いくつこういう失敗を重ねていることか。そこのラーメン屋は最近よ
くあるカジュアルなラーメン屋でして、女の子のグループもお気軽にどうぞってな風合いの、
味はどうでもいい系の、ほら。
「しなそば(小)¥380」をさっさと食べて出ればよかったんだ。しかし、ラストのチャーシュ
ーにかかる頃から(好物は残しておくタイプ)、隣の席のグループの会話が聞くとはなしに、耳
に飛び込んでくるのですよ。カクテルパーティー効果。いやちょっと違うのだけど。
「あっしー(私、の意か?)、箸ってなんかなじめないんだよねー」
「あーわかるー。うざいよねー」
「長いよねー、箸」
論点ずれてないか? 短い箸がどっかにあんのか?
隣のグループは「ちょっと間違えた梅宮アンナと神田うのが取り巻きを連れている」という感
じの5人組だ。一見ふつうだ。唇が白いわけでも目のまわりをキラキラ光らせてるわけでも、
胸に入れ墨をしているわけでもない。雑誌でいえば『OZmagazine』の読者プレゼントコーナー
を必死になって読むようなタイプ。会話と外見がちぐはぐしているのでとても気になる。箸に
なじめないのは、どうやら取り巻きの1人、髪型だけ浜崎あゆみ(ただし黒)の女のようだ。
で、その、箸になじめない彼女はラーメンをどうやって食べるのか? 私の興味の焦点はそこ
だ。この私の目の前でキミはどんな暴挙に出るのだ? あばれるぞ。
「女社長(42)ラーメン屋で暴力、箸に逆上」
なーんて新聞の見出しがふと頭をよぎり、やっぱりもう出ようかと思ったときに、隣にラーメ
ンが届いた。いやいやここで帰ってはいけない。私もジャーナリストのはしくれだ。
(後編へ続く)
しまいにゃどつくぞ!(後編) mukatsuki file Vol.13 (2001/6/28)
(「箸ってなじめなーい」と言い放った女がラーメンをどうやって食べるか観察している)
それは見事にれんげだけを使い、彼女は麺をたぐり、具をすくい、スープをたいらげていく。
私はなにかのショーを観ているのか? デビッド・カッパーフィールド?
違和感なく彼女の食事は終わった。
……別にいいのか、箸がなくたって。持てなくたって。
私がこういうことにやかましいのはどうしてか。会社の女の子たちはさぞかし「うぜえ」と思
っているに違いない。それは私自身がさんざんやかましく言われてきたからだ。ばあさんに、
両親に、部活の先輩に、職場の先輩に。その仕返しだ、わはは。だけどこの悠久たる仕返しの
歴史がお行儀という伝統をつちかって、いるのだよ。たぶん。
そういうわけで私は楽しみにしていた『チェブラーシカ』の試写にすっかり出遅れ、スクリー
ンのド真ん前、真横からかわいいチェブちゃんを観るハメになった。とってもかわいくて一生
懸命観ようとするもんだから、首と頭が痛くてたまらん。悔しい。だけど、こんな想いをして
まで(自業自得だが)観た映画がチェブちゃんだったのは救いだった。雑念を一時忘れた。
しかしなあ。箸が持てるからってなんかイイことあったかな。いままでに。
あ、あった。
礼儀作法の小笠原流を取材したとき、総元締めの爺さん(故・小笠原忠統氏)に、いきなり箸で
ビー玉つかめと言われてビビりながらもつかんで「よろしい」と言われた。
そんぐらいだよなあ。
そういや爺さんポケットのいっぱいついたベスト着てたよなあ。部屋にセシールの箱が山積み
になってて「これもセシールに違いない」とにらんだらその通り。¥7800の「釣りにレジャー
に最適! 年齢を問わないシャレた一着」だったから笑ったよなあ。そのときから爺さんのこ
と密かに「オガちゃん」って呼んでたのになあ。死んじゃったんだよなあ。その頃すでに胃ガ
ンが進行していて「食べたくても食べられないの」って、言ってたよなあ(夏の想い出モード)。
「食べることは、生きることと同格です。だから私はやかましく言うんだよ、わかるかね?」
(Byオガちゃん)
はい。今はよくわかります。
追記:前編で「短い箸があんのか?」とすごんだが、銀座の箸専門店「夏野」で発見。愛らし
い幼児用のお箸(^^) 小さい手には小さい箸を。チャオ!
テレビの人ってまったくもう mukatsuki file Vol.14 (2001/7/14)
テレビを観ていて、黒い画面の真ん中に赤い線が一本登場すると、イヤ〜な気分になる。その
次が私にはわかるから。その次はこうよ。線の上下に文字がぴやーっと現れる。
ブエナビスタ作品のオープニングと一緒やんけ。
ニュースにドキュメント、バラエティにもひんぱんに登場する。テレビが先だったとは言わせ
ない。だってもう、このパターン多すぎ。新ドラ『マリア』と香港映画『流氓醫生』の違いを
述べよ。(邦題は確か『裏町の聖者』、でもこれはもともとマンガが原作か)
何度テレビの人にだまされたことか。マリリン・モンローの発掘写真を弊社発行の雑誌から複
写しておいて、スクープ映像のように扱った人物ドキュメント番組。社運をかけて取り組んで
いた(←やや誇張)男子高校生向け美容雑誌について一生懸命語ったのに、放映されたタイトル
は「いまどきのバカ男子高校生」。
さあこれからが本題だ。
『マレーナ』という映画を紹介するにあたって、マレーナさんが劇中で身につけるような下着
の紹介を盛り込んだ記事を作った。その記事を見て連絡してきたテレビの人が言うことにゃ
「この下着の効能を教えてください」
知るか。
店に聞け店に。
しかし「困ってる人には親切にしなさい」と、呪文のように教え込まれて育った我々は、つい
テレビの人に、撮影で使った下着を貸してあげてしまったのだ。だって時間がない、と、とっ
ても困っていたから……。ところがだ。返ってきた下着は8枚。貸したのは4枚で、あとの4
枚はテレビの人が借り足したものだ。
おい。
どういう了見だ? まとめて下着屋に返せと?
親切な私は、4枚は下着屋に返却し、残り4枚はきっちりテレビの人に返却してさしあげた。
テレビの人ってどうしていつも、こんなに急いでいるんだろう。私(雑誌)もどっちかってい
うとそういう傾向にある。だけどテレビの人には負けるぜ。わーっと来てわーっと去っていく。
記者会見でもそう。はいはいはいはいと勢いよく挙手して、貴重な時間をみーんなさらってく。
試写室で会ったことも見たこともないような、でもテレビ画面でよく見かける人たちが。
で、必ず聞くのさ「日本の女性をどうお感じになりましたか」って。
たった15分とか、それこそ「時間ないっつーに」というときに限って。
ああ、実名を出したいのだけど名前がワカラン。毎日のように顔をあわせているのに(テレビ
で一方的に)、私はあなたの名前すら知らないわ。
私はテレビが大好き。煙が出るまで見続けたこともある(実話)。だけどテレビのなかの出来事
はたいていウソだと思っている。それでもじゅうぶん楽しい。
いまどきの人はみんな知ってるよ、たとえば自分が渋谷で目撃したことが一次情報としたら、
トゥナイト2で放映されるころには五次情報ぐらいになっているなんてこと。
だからそんなに急ぐこと、ないじゃない。
テレビの人が急いでいる記者会見でわざともたもたしてしまう、イジワルな雑誌の人=私。
お腹が鳴りますキンコンカン mukatsuki file Vol.15 (2001/8/20)
『メメント』って、ホント面白いんです。
ところが私ときた日には。完成披露試写の真っ最中、緊迫感最高潮のそのときに
ぐー〜〜〜 きゅるるるるるるるる〜〜
という空腹の音を、静まりかえった徳間ホールに豪快に鳴り響かせてしまったのです(^^ゞ
どうも最近太ったなあ、と思い始めのは、「いつものスカート」がなんだか窮屈で、ホックを
外してみたらどっとラクになった、というのがきっかけでした。
35歳を過ぎた頃から、薄皮を、はぐのではなく1枚ずつまとうような感じでじわじわとそれは
やってきたのです。そして気づけば、真綿でくるんだような太り方をしてしまいまして、ノー
スリーブの服だとか、かぶりの服だとか(←着るのは着るが、脱げない)がツライお年頃になっ
てしまいました。もちろん二重あごですよ。
だからといって努力などしないところが私のいいところなので、「35歳を過ぎるとね、女性と
しての機能がどんどん低下するの。それで、そういう臓器が集まる下腹部を守るため、皮下脂
肪がどんどんついていくのですよ」という漢方の先生の言葉に大きくうなづきなんとなく満足
していたのですが。
最近また急激に太り始めているのです。ああ、おかあさーん ←なんとなく叫ぶ
で、話は冒頭に戻るわけですが、これは試写まわりがいけないのではないかととんだ濡れ衣を
罪のない映画たちに押しつけるわたくし。まず、起きたら朝ご飯を食べるでしょ、13:00から
の試写でお腹が鳴らないようにチーズバーガーとカスタードデニッシュ(Byマクドナルド)食べ
るでしょ、コーラも飲むね。で、15:30からの試写でお腹が鳴らないようにスパゲティだとか
ラーメンだとか、食べるわけじゃないですか。それで18:00からの試写でお腹が鳴らないよう
にサンドイッチだとかおいなりさんだとか、ごま塩おにぎり(Byファミリーマート)食べるでし
ょ。さらに夕飯を食べるわけでしょ、人間として。そんで夜中にまたお腹が空いて、食べるわ
けじゃないですか、カレー味カップヌードルとかマルチャンワンタン麺だとかなんだとか。
そんな生活してて太らないほうがおかしいっつーの。
お腹の鳴りを止める「ぐーぴた」という小菓子シリーズがあるんですが、これがまた効果ない
んだなあ(^^ゞ 酸っぱいモノがいいらしいと聞き、和歌山の梅干し持ち歩いた時代もあった
んですが(遠い目)、んなもの試写の最中にごそごそ出してにおわせるほどの勇気もなく。
みんなどうやってしのいでいるんだろう。
考えてみると、ちょっと前まで一日中試写まわるということが物理的にできなかった、いやな
に、いろいろと事情があって。それが、事情が変わって「試写の日」を決めぎゅうぎゅう詰め
にまわる日々が続いている。それがいけない。なぜそうなったかというと不況がいけない。オ
イ小泉。どうにかしてくれ、セミ捕りの話熱く語ってる場合じゃないぞ(←8/7のメルマガ)
そういえば私は昔からこの「お腹の鳴り」に悩まされていたんだっけ。少女雑誌の悩み相談コ
ーナーにもよく載っていた気がする。ま、だいたい答えはこんな感じ。
「お腹が鳴るのは、皮下脂肪が薄いせい。つまりアナタはおやせさんってことかしら。ちっと
も恥ずかしいことじゃないわ、むしろオデブちゃんたちにうらやましがられてるんだから!
気にしないで明るく過ごすのがいちばん」
……ふうーん。(この項オチなし)
地球がもったいない mukatsuki file Vol.16(2001/10/14)
ある女性集会に呼ばれたときのことです。いわゆる“箱弁”と呼ばれている、器の返却不要の
デリバリー弁当が出ました。この手の弁当容器は最近は、すべて安全に燃える素材でできてお
り、箱の裏にもその旨が記してあった。
だから私は「燃えるゴミ」の袋に、食べ終えた弁当箱を小さくつぶして捨てたのでした。
それが、なんだか係の方にはご不満だったらしく、係の彼女はその場で私の捨てたゴミを拾い
出し、黒い仕切り容器を取り分けて「燃えないゴミ」へ捨て直した。
その彼女は、ゴミの係の人らしく、ほとんどの人のゴミをそうやって点検し、自分なりの基準
に基づいて仕分けし直しているようすだった。包装紙にくっついてるセロテープも許せないら
しく、黙々と取り分けていた。
言いたいことはいろいろあった。ゴミに関しては一言持つ私である(バックナンバー参照)。ス
ーパーの袋でも炭カルものは「燃えるゴミ」でいいんじゃないのか、とか、確かにびんは「燃
えないゴミ」だがそこまでやるならリサイクルにまわせ、とか。
私は「ゴミの行く先」を取材したことがあるのだ。とくにショックだったのが「燃えないゴミ」
の行く先で、いやあ〜驚きましたよ。ものすごい量のゴミが、わんさかわんさかやってきて、
「あっこれまだ使えそう」「ヴィトンのバッグやんけ」とか思うヒマもなくどんどんどんどん
重なってって、私が立っている場所もアッという間に侵食されていく、それはショックな光景
でした。
こりゃたまらんわい。そういうショックを受けて、コンパクトな包装や燃える素材開発に闘志
を燃やす中小企業のオヤジは多いんだって。私もそのとき「企業努力」について考えた。しか
しこの光景は、そうやっていらんゴミを増やすバカエコロジストに見せたほうがよろしい。
そのときに聞いた話は非常に重く、「世の中のゴミが全体に“とりあえず燃やさない”方向に
ある」ということ、結果として「燃えないゴミ」が非常に増えている、このままではホント、
やばいんだってことが強く印象に残った。安全に燃える素材を開発してる人も切ないよなあ。
さて映画の話です。『ダンボールハウスガール』。そのへんのフツーのねえちゃんが、いろい
ろと事情があってダンボールハウスの住人になる話なんですが。さらさらのロングヘアをなび
かせてるキレイで若い女ホームレスだ? それにハラたててもしょうがないよね、映画なんだ
から。スター・ウォーズと同じカメラでがしがし迫力画像とってんだから。
だけど私はこのヒロインがダンボールハウスを造る場面がどうしてもダメだった。こいつどっ
から持ちこんだか、真新しい(ロールが太い)ガムテープを
ぴーーーっ
ぴーーーーっ
びーーーーーっ
と、それは思い切りよく大量に使って、彼女のオシャレなダンボールハウスができていく。私
はダメだった、この場面が。
モノとはなんだ? モノより金より大切なものはなんだ? という壮大なテーマの投げかけが、
このガムテ音で一挙にぶちこわし。
やめてやめて、ウチの会社でそんなガムテの使い方したらこの私が許さない。だいたいその音、
それ布ガムテじゃないですか(←高くてかつ「燃えない」)。
燃える・燃えないを置いといたとしても、たとえばパソコン導入したからって紙ゴミは全然減
らない。世界貿易センターの倒壊現場に大量の書類が舞っていたのを、みなさんもごらんにな
ったでしょう? 毎日大量の紙ゴミを吐き出すウチの会社あたり、そりゃあ地球に厳しい仕事
です。ああっっもったいないっ! なにがもったいない? ……地球がもったいない! だっ
たら裏紙使ってコピー詰まらせる以前に、ミスコピーしないよう気をつけろっつーの(^^;;
朝から不機嫌 mukatsuki file Vol.17(2002/02/06)
私の仕事は映画を観ることではありません。
映画を観て、そこから先のことが私の仕事です。それをどこに(誰に)どういうふうに結びつけ
るか、それを考えるのが仕事。だから、できるだけ映画に対して先入観を持たないように気を
つけて試写にのぞむわけですが、最近、試写状を見ただけで「……」と身構えてしまう分野が
あって悩んでいます(42歳・主婦)
それは、映画学校の人たち、あるいは初めてカメラを持つとかいうような人たちが「既成の枠
にとらわれず」「フレッシュな視点を生かし」、「斬新な映像表現」で撮った「自由な発想の」
作品を集めたオムニバスというやつ。
悪い。悪いがもう、かんべんしてほしい。
自分探しに懸命な女
風変わりな若い女性
すぐキレる男
だめんず
世俗的な親
秘密あるいは暗い過去を持った若い男
登場人物はだいたいこんな感じの順列組み合わせ。
それをシャッフルして、出てくる答えは
「そしてなにごともなくいつもの毎日が」(出現率31.8%)
「私は私にほかならないのだ」(出現率11.3%)
「あのできごとはなんだったのだろう(主人公つぶやいてend)」(出現率21.2%)
「観客のみなさんの想像のままに」(出現率18.8%)
※出現率はテキトーです。
引き当てフィギュアじゃないんだよ!
だいたい全然「斬新」でも「自由」でも「フレッシュ」でもないぞ!
なぜこれで金をとる。その意図がわからない。
なめんじゃねえ。
だいたい「卒業制作」を商売品にするのはちょっと違うんじゃないのか。大学や専門学校への
助成金って、出どころどこだよ。え?
↓参考DATA
http://www.tax.metro.tokyo.jp/tokei/yosan_h13.htm
「特定非営利活動法人」だから関係ないとでも?(戸田奈津子の字幕風)
え、非営利? そうだったんですか?
だったらなおさら、他人から金を取るということを簡単に考えないでいただきたい。
社会の仕組みを勉強してから出直してきな。
十把ひとからげにまとめる人もまとめる人だと思う。
責任の所在は? せめて日劇とか、マイカルとか、そういうところでですね、バーンと昼興行
してですね、大コケにコケるなりなんなりして、他人の財布を開けさせるということがどんな
にタイヘンなことかを知ってほしい。小さい小屋半分ぐらい埋めて悦に入ってどうしますか?
いやそれでもいいんですけど、それをベタベタなタウン情報誌で紹介して欲しいとか、まして
や大きく取りあげろというその気持ちがどうしても理解できません。映画=困ったときのデー
トネタ、ぐらいにしか考えていない若者たちにどこをアピールしろと?(戸田奈津子の字幕風
……くどい)それがどうしても見えてこないので、試写がとても、とても、つらいんです。
我が道を行く監督は世界中にたくさんいる。最近注目のハネケだって、アルトマンだって、わ
かりやすいハリウッド作の人ではないと思う。彼らも何人かで寄り添って仲良しこよしの上映
会してシロウトさんからお金を取るようなことしてるんでしょうかね。
「わかる人にだけわかってもらえればいい」のであれば、公園かどこかでストリート上映して
いただけないものだろうか。それか観てくれた人にお金払うとか。
ああ……この怒りを正当化するためいろいろ調べてたら、なんだかよけいハラが立ってきてし
まいました。さあ主税局行って、もっと聞いてこよぉっと(←仕事は(^^;;?)
平塚らいてうの障害 mukatsuki file Vol.18(2002/04/06)
私が30万円のテディベアを買ったりなんかすると「お金持ちだなあ」という反応をいただき
ます(が、お金持ってはいません。すぐ使いますので)。
しかしそりゃあそうですよ、私9時-5時ですもん、朝の9時から早朝5時まで。それでビン
ボウだったらそれはやってることが「仕事」として成り立っていないと思うです。
会社員でそれが不満であるなら、起業すればいいでしょう。できるかどうか、成功するかどう
かは別の話ですけど。
頼まれて、女子の方々にちょっとした講演をさせていただきました(エラそう……)。テーマは
あんまり書きたくないけど「女性が社会で輝くとき(仮題とさせてください(^^;;」的な、まあ
そんなような会です。
集まったメンツがどういう人々かよくわからなかったのですが、女性学を専攻している女子学
生&起業したいOLさんが中心ということでした。
ちょこちょこっと話して、あとは雑談形式でQ&A。しかしこれが。
「仕事でイヤな思いをしたときはどうしたらいいのでしょう」
「スムースな人間関係を作るコツを教えてください」
「仕事とプライベートどっちを大事にすればいいんでしょう」
「結婚と仕事は両立できますか」
「努力しているのに認められません」
とまあ、こんなふうに禅問答のような質疑応答が続きます。私がなんと答えたかは、控えさせ
ていただきます(^^;;
女性学でなにを学んできたのか、なんのために起業したいのか、彼女たちの気持ちがまったく
わかりません。どえりゃー受け身。ここまで受け身人生を歩んできた人が社会に出ていくんだ
から、ましてや起業しようってんだから、それはご苦労様なこったと思いました。
人は結果しか見ません。あなたがどんなにがんばっても、その過程を見てくれる人はだれもい
ないと思ってください。
「社会」とは「男性社会」と考えていいと思います。
「仕事」は、その「男性社会」で生き抜くことをさしていると思います。
生理が来ても垂れ流すぐらいの覚悟が必要((C)ダウンタウン松っちゃん)
だから起業どころか、女性が仕事を持つということ自体を甘く考えてはいけません。
というようなことを、最初にお話したんですけどねえ。
それを奴らはまったく聞いちゃいなかったということがQ&Aでわかって、「だから女は社会
性ないって言われちゃうんだよ」と思いました。
もともと女性は生まれ持った体質に加え古くからの習慣なども相まって、受け身にできている
んです。それをおして社会に出ていこうというのですから、なんでも男性と同じにっていうの
は、そりゃ無理ですね。
言われたことを素直にきっちりやるっていうのは、女性のほうが素直な場合が多いようです。
これは人を使ってきた経験上でもの言ってます。
だけどそれでは「仕事」にならんです。うちのバッキーちゃん(猫)でも「あれ取ってきて」と
頼むと「にゃーん」と持ってきてくれました(カワイイ思い出♪)
自分の価値は自分で勝ち取ってください。ハヤセさあ〜んと困った顔されても困ります。
道があったから歩んできたというのであれば、平塚らいてうが切り開いた道は、誤った道だっ
たということになるのでは。
私なんかの話聞くよりか平塚らいてうの映画を見なさい(いま神保町でやってます)。『華の乱』
でもようございますね。
こういう人たちが血を吐く思いで切り開いてくれた「女性が社会で生きる道」ですので、もっ
と仕事を大事に考えてはいかがでしょうか。
老いが来た mukatsuki file Vol.19(2002/8/12)
別に今回は、怒ってるわけじゃないんですが、ウンチクでもあるまいし、私としての位置づけ
はこちらです。
いやあ。観たんですね、話題作『アイリス』を。
数々の映画賞に輝いた、2001年産のイギリス映画です。実在の哲学者(文学者と言ったほ
うが適切なのかな)アイリス・マードックの晩年を、彼女のご主人のジョン・ベイリーが記し
た著作が原作となっています。
“言葉”にこだわり、“言葉”を語り続けていた聡明な女性アイリスの“老い”が、こともあ
ろうにアルツハイマーで「言葉を失うこと」から始まるという、非常に残酷な話です。
この役でアカデミー助演男優賞に輝いた、夫役のジム・ブロードベントが、観客に息継ぎの暇
も与えないほどの熱演をみせます。長年連れ添い、愛した女性の変貌にとまどい、いきどおり、
苦悩し、そして最後は受け止めるまでの一連の流れをよどみなく演じます。
もちろん、アイリスを演じるジュディ・デンチにも圧倒されます。映画の後半、すっかり赤ん
坊のようになってしまったアイリスを演じたことを彼女は「いままででいちばん大変な仕事」
であったと振り返っていますが、なんの。アルツが始まりかけたときの恐怖感に震える姿は、
デンチならではの名演だったと思います。
オープニングの水中シーンから、ラストの暗転まで、常に観客をスクリーンに釘付けにする構
成と脚本、緻密な色彩設計まで、一部の隙のない出来。
色彩設計といえば、晩年のアイリスがブルー系の服ばかり着ているのに対し、若き日のアイリ
スの好みの色として、赤が多用されているのが印象的です。この若き日のアイリスを、ケイト
・ウィンスレットが乳ぶるんぶるんいわせて熱演します。
……と書き連ねていくと、アンタなにに怒ってるのさと言われてしまいそうですね(^^ゝ
そうなんです。
周囲の観客は若いお嬢さんが多く、皆ぼーぼーと涙を流しています。
でも私は、ラストまで、泣くことができませんでした。
だって、あまりにも身近、あまりにも身につまされる。
私のソレは、目から来ました。「あれー、また目が悪くなったのかなあ」と思ったのは、香港
の街角で地図の文字が見にくかったそのときです。冗談で(老眼のおばちゃんがよくやる感じ
で)地図をすっと遠ざけましたところ、いやー、見事に文字が読めたんですね。
老眼キターーーーー!!!
加えて最近は、ホントに固有名詞がすっと出てきません。ゆうべも「優香」が出なくてのたう
ちまわる思いをしました。
アイリスの苦悩、恐怖、やさしく接してくれる夫に対するイライラ感、すべてが自分の一歩先
を見ているようで、とてもじゃないけど泣けたもんじゃありません。
だれもがやがて迎える「老い」を、ここまで真摯に突きつけられる映画だったとは迂闊でした。
「かわいそうだったー」
「泣いちゃったネー」
など感想を話し合いながら、短いスカートからぱつんぱつんの脚を出して元気に帰っていくお
嬢さんたちを、アイリスな気分で眺めてしまいました。
若いって、なんだか残酷だ。。。
しかしキミ、その若さを無駄遣いすんなよ。と、心の中で声をかけました。
光陰矢のごとし。
『アイリス』は、10月下旬頃、銀座シネスイッチにて公開予定です。
禁煙!千代田区 mukatsuki file Vol.20(2003/1/1)
私は心優しい蟹座なんですが、誕生日的に双子座に近く、気まぐれこのうえないB型で火星人、
そんでもって強靱な翼を持つペガサスの女なので
ダメ
と言われたことはやらずにすまない性格なんですね(^^ゞ
その最たるものが飛行機内の禁煙であったり、一服したくて乗ったタクシーが禁煙タクシーで
あった場合だとか、まあ、タバコにまつわることが多いわけです。
ときどき、ここでタバコ吸ったらどうなっちゃうだろう、という知的好奇心(←ちょっと違う)
に襲われ、たとえば友人の挙式の最中であったり、ちょっとした資格試験の最中であったり、
そんなときに、不屈の精神(歪みアリ)と正義の心がせめぎあうわけですよ。
ご存じのように、私の主な棲息地・千代田区は今年から路上喫煙に罰金が課せられることにな
りました。でもまあ、世間は誤解してるわな。「んまー! 千代田区ってあそこは禁煙でしょ
う?」と何度言われたことかいな。ちゃうちゃう。室内とかはいいんですよ、別に。でもなあ。
もうそのへん歩いてると、ダメダメポスターなんかがたくさんあって、今までしたことなかっ
た路上喫煙の誘惑にかられる自分と闘うことになるわけだ。
もうこうなったら意地でもタバコはやめないと思うよ。そんなに悪いなら、いっそ法律で禁止
してくれ! 逮捕でもなんでもしてくれ! 『刑務所の中2』撮っちゃいますよ私は。
……というような私の現在の心境をご理解いただいたうえで、やっと本題なんですが。この2
月に公開される映画『007/ダイ・アナザー・デイ』の劇中で、主人公のジェームス・ボン
ドが葉巻を吸うシーンがあって、タバコ=いくない! という人々の抗議を受けたりしている
わけです。
あほかいな。
そういえば最近の洋画では喫煙シーンてのがほとんどないですね。タイアップ小物がロゴばっ
ちりでアップになったり、不自然なまでに有色人種がキャスティングされてるのと反比例して。
映画の中で、タバコや葉巻が効果的に使われるシーンは山ほどある。香港映画もすごいよね。
香港の人ってほとんどタバコ吸わないのに、映画の中じゃみーんな超ヘビースモーカー。ちな
みに香港映画名物・灰の落ちないタバコは、シャーペンの芯を仕込んでおくらしい。あ、脱線。
とにかくそうやって、「いい画〈え〉」がどんどん映画からなくなっているという気がしてな
らないの。くすん。
映画の影響ってことを、なめたらあかんと私は思う。きちんと、年齢なりの想像力が育ってい
る人間であれば、映画の中と現実は、頭の中できっちり描き分けられるはずだと思う(このへ
んの話は1/25公開の『ボウリング・フォー・コロンバイン』を観てね)。
映画と現実の距離感をはかれない人ばっかりになったら、ジョン・ウー映画からあの華麗な銃
撃戦が消えてしまうんでしょうか。人々がフツーに空を飛んだりビルを駆けめぐったりしなけ
れば映画じゃなくなっちゃうんでしょうか。それもなー・・・・