映画酔い

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Mail.1 〜 Mail.10

2001/2/13 Mail.1
斉藤→ハヤセ
題名「見てから読んで『リトル・ダンサー』

この映画の裏に脈々と流れるているのは、明らかにゲイの視点。監督は99%ゲイと断言した
い、余計なお世話だが……。女の子に混じっての主人公ビリー・エリオットのバレエの練習
は、どう見ても“女の子と遊ぶ方が楽しかった”ことが多いゲイの少年時代とダブってしまう
のですよ。でも、スマートな監督はビリーをゲイにしなかったことで、万人感動映画に仕上げ
たし、逆にゲイの観客はビリーに自分を重ね合わせて、ひっそりと涙できるわけ。何事も“あ
からさま”はいけません、という見事な作り。

唯一のあからさまなゲイ要素は、親友マイケルのキャラ。チュチュまで履かせてしまうのは
ちょっとやりすぎだと思うけれど、ビリーとのキスシーンは愛を超えた“友情のキス”として
映画史に残したい名場面! ゲイの男の子が、あこがれのノンケ男子に望む最高級の行為とも
言えるもの、これ。

いやぁ、しかし泣ける、泣ける。どの登場人物に感情移入しても泣けると思うんだが、どうで
しょ? 前出のマイケル君を筆頭に、父、兄、バレエの先生、バアちゃん……。僕なんか、家
の塀に寄り掛かってビリーを見つめてる名もなき少女の気持ちにグッときてしまった。ロンド
ンへ行くときに、一言だけビリーに声をかけるの、彼女が! そのあたりの演出も、うます
ぎ。
さらに裏読みとしては「白鳥の湖」の隠喩。バレエの先生が、ビリーの自分にとっての“王子
様”を見出しつつ、自分は身を引いていく。このほとんど浪花節、悲劇のヒロインの姿はゲイ
の涙をふりしぼるのよ。その“白鳥”関係はビリーと父との間にも重ね合わせられる。唯一、
ビリーのがんばる姿に自分を重ねて立ち直るのがバアちゃん。かつてのダンサーになる夢を
持っていた自分を思い出して元気になっていく彼女。だから、ロイヤル・バレエ学校に旅立つ
ビリーとバアちゃんの別れの一瞬は、この映画のクライマックスのひとつでもあると思うのだ
けれど。ここでは思わずウグッと声まで出てしまった。

最後になってしまうけれど、ビリー役のジェイミー・ベル。イギリスではウィリアム王子に匹
敵する人気というのもうなずける。映画の撮影時にくらべ、最近の写真では顔つきがさらに
シャープになって、こりゃ、英国美形俳優の道をまっしぐらに突き進みそう。極東の地から
ひっそり応援し続けたくなるというものだ。くれぐれも今後の作品選びには注意してもらいた
い。

あぁ、でも、以上のような屈折した裏読みをしなくても十分に感動できるのが、この映画のす
ごいところ。人間、踊りたいという欲望は本能なのだと改めて実感させてくれる。贅沢を言わ
せてもらえば、ラストのアダム・クーパーの踊り、もう少し長く見たかった!



2001/2/18 Mail.2
ハヤセ→斉藤
題名「見ました。号泣」

で、札幌に着いてすぐに見ました。
号泣……自分でもなぜかよくわからん。英国・炭坑・明るくがんばる、と私にとっては三重苦
のテーマなのに、後半はイナカを捨てて20年になる自分に重なる部分が多くて泣けて困った。
私は父子ものに弱いのだ。それに札幌で見たということもあっただろうな。後半の、試験を受
けるあたりから涙が次々と出てきて本当に困った。ひとつひとつの小さなエピソードが出てく
る人たちの小さな幸せだったり夢だったりそんなものに重なって最後にどどーんと大きな波が
……ラストのさ、バスが地下鉄にひゅうーって変わってきょろきょろしているお父さんが私は
もう、泣けて……。

で、

> この映画の裏に脈々と流れるているのは、明らかにゲイの視点。監督は99%ゲイと断言
> したい、余計なお世話だが…

いえ、私もここかしこに思ったの。マイケルよりも、この、エリオットという少年を見つめる
誰かの視線が、とてもこう、家族愛とか異性愛とか、そういうものとは異質なカンジが……監
督か。

> 何事も“あからさま”はいけません、という見事な作り。

とても巧いよね。それに思ったよりあっさり味だった。しかしマイケルくんを私はしばらく女
の子だと思って見ていたよ。いるでしょあのお年頃でああいう子って。

先日ね『アメリカン・サイコ』を見たのですけど、ゲイの友人が出てくるじゃないですか、あ
そこすっごく不快だったの。ああいうネタで笑いを取るのが不快。ああいうシーンって映画で
はわりと多いかもしれない(ゲイネタで笑いを取るシーンが)。ゲイの人はどう見るのでしょ
う。

> さらに裏読みとしては「白鳥の湖」の隠喩。バレエの先生が、ビリーの自分にとっての
> “王子様”を見出しつつ、自分は身を引いていく。このほとんど浪花節、悲劇のヒロインの
姿はゲイの涙をふりしぼるのよ。

斉藤さん確かこのことt1の原稿に書いていましたよね。実はこれは見るまでよくわからな
かったの(私はあの先生が大好き)。みんなが自分の夢を託して紡いでいってラストがアレだか
ら私にとってはまさにストライクゾーン! って感じ。中途半端にはい夢が叶いました、よ
かったよかったじゃなくて、大物になった彼の現在もまだ続く苦悩であるとか、なんとか、そ
ういう含みがあるのがよかった。ラストの白鳥がアレだってことがまたよかったりなんかし
て。アレは確か王子様もマザコンだったりして衝撃的な解釈、なんでしょ?

> 贅沢を言わせてもらえば、ラストのアダム・クーパーの踊り、もう少し長く見たかった!

アダム・クーパーの役のこと書いたらネタばれなんだろうか。判断に苦しんだ。劇場用パンフ
にもあったんだけど、あの、背中だけで舞台直前の緊張感だとか高揚感だとか一瞬にして語っ
ちゃうあたりが……しかしほとんどの観客がラストの白鳥があの白鳥だって分からないと思
う。私もバレエ雑誌を読んで初めて知った。ホンモノを見たいですねえ。ああバレエ習いたい
……トゥシューズはいてみたい(笑)。

> 極東の地からひっそり応援し続けたくなるというものだ
> 。くれぐれも今後の作品選びには注意してもらいたい。

そそそ。次の作品がいろいろと気になる。これではシーンごとに顔が違うでしょ、まだ顔がで
きてない感じがいいよね、そんで結構筋肉つきかけてたりして、愛らしい。結構当たってるん
だよね、これ。バレエっていまブームなんだってね。センターステージも公開が早まったよ。



2000/2/22 Mail.3
斉藤→ハヤセ
題名「この春の名ゲイ役は『偶然の恋人』

『リトル・ダンサー』ようやくご覧になっていただいたようで、しかも大感激とのことでうれ
しい限り。久しぶりに頭のなかにビリー君の姿が走馬燈のようにかけめぐってしまったワ。と
ころで『センター・ステージ』、ついに見てきました! いやぁぁぁぁぁっ、予想以上のダン
スシーン! あのイリヤ・クーリック(長野五輪フィギュア・スケート金メダリスト)が下手
に見えるくらい、他の出演者のレベルが高い。練習風景も含め、これだけのダンスを見せる映
画は何年ぶりか、ってほどでした。ダンスものってことでゲイネタも必須。このあたりは追っ
てじっくりと。

> 先日ね『アメリカン・サイコ』を見たのですけど、ゲイの友人が出てくるじゃないで
>すか、あそこすっごく不快だったの。ああいうネタで笑いを取るのが不快。ああいう
>シーンって映画ではわりと多いかもしれない(ゲイネタで笑いを取るシーンが)。ゲ
>イの人はどう見るのでしょう。

たしかに、『アメリカン・サイコ』の、あのシーンは不快そのもの。主人公パトリック(クリ
スチャン・ベール)を“ゲイ”だと勘違いした本当にゲイの友人がトイレに追っかけてって告
白するところね。こういうシーンって、古今東西、映画ではよく出てくるので、はっきり言っ
てゲイの目から見たら、「またか……」って感じ。この場合、まだ友人役が“イケてない”か
ら、笑って済ませられると思う。明らかに笑いを取る、というのがミエミエだから許せるの。
心が広いゲイならね。

それよりなにより、この映画、ゲイにウケると思うのは、主人公のナルシストぶり。

外見の美しさを気にするあまり、日々、ストイックに肉体を鍛え上げ、女とのセックスでは、
鏡に映った自分を見つめて大満足の表情。「オレってカッコいいぜ」ってな具合に自分を指さ
してたでしょ。これってカッコいい自分に惚れる=典型的ナルシスト。自分=男に惚れる、と
いうゲイ要素につながるのよ。クリスチャン・ベールの肉体美も含め、細かい部分に目をつぶ
れば、ゲイ観客にとっては、かなりポイントの高い一作だと思う。映画のオチは、まぁ、仕方
ないっすよね、あーなるしか、という感じですが……。

トイレで思い出したのだが、『偶然の恋人』でおもしろいシーンがあったわ。ベン・アフレッ
ク扮する広告代理店のエリート社員・バディが、トイレで用を足す新入社員・セス(じつは彼
の下に配属されてきた)を「だれだ、こいつ?」という顔でジロジロ眺めていたら、新人クン
「そんなにジロジロ見たらセクハラですよ」ベン「悪いがオレはゲイじゃない」新人「だって
僕がゲイですから」うーん、このやりとりには唸った。まず、ボスにあっさりとカムアウトし
ちゃう、いまどきのゲイ君。そして、男と女の間だけでは済まされないセクハラの実態を、サ
ラリと見せちゃうところ。セクシュアリティによって、相手を不快にすることはちがってくる、
ということをさり気なく教えてくれる名シーン。

で、このセス君、バディ(この名前もちょっと某ゲイ雑誌みたいで……)の秘書のような存在
なんだけれど、グウィネス・パルトロウ扮するアビーに惚れていながら一歩を踏み出せない
(この事情については、長くなるので映画を見て)彼の煮えきれない態度にたまりかね、恋の
アドバイスをしながら、陰でキューピッド役になっていく。まるでお節介ババア。でも、ボス
の幸福を願っているの。だからバディもまんざらじゃない。
いやぁ、持つべきものは、ゲイの部下!という設定が痛快よ。

セス役のジョニー・ガレッキは、『ラスト・サマー』などに出演している若手俳優。
今後は名バイプレイヤーになりそうな期待大。ちょっとクセのある顔なので、好き嫌いはある
かもね。セス役では、ファッション・センスもゲイ役を意識。からだにぴったりした薄手のポ
ロなどで、乳首目立たせまくってたわ。こっちの方がセクハラって話も。そんな脇の要素を差
し引いても、『偶然の恋人』は、ベン&グウィネスの複雑なラブストーリーを、自然なセリフ
と感情の流れで見せて、けっこうポイント高いと思いましたわ。



2000/2/25 Mail.4
ハヤセ→斉藤
題名「ゲイファッションて……』

NHKのフィギュアごらんになって? 私は見逃してしまって、スポーツ新聞の写真だとか見た
だけなんですけど、3位の子が可愛い。のびやかな肢体。クワンやロシア女(名前を失念)は
そろそろ見飽きてきたかなあ。久々にスケートしたいなあ。もう氷の上に立つこともできない
だろうけど……。

> 『リトル・ダンサー』ようやくご覧になっていただいたようで、しかも大感激とのこ
> とでうれしい限り。久しぶりに頭のなかにビリー君の姿が走馬燈のようにかけめぐって
> しまったワ。

『ロードショー』見た? ビリーくんの最新フォトグラフが。ティーンエイジャーのような気
分で見ちゃった。さらに大人っぽくなっててグー。

> ところで『センター・ステージ』、ついに見てきました! いやぁぁぁぁ
> ぁっ、予想以上のダンスシーン! あのイリヤ・クーリッ
> ク(長野五輪フィギュア・スケート金メダリスト)が下手に見えるくらい、他の出演者
> のレベルが高い。練習風景も含め、これだけのダンスを見せる映画は何年ぶりか、って
> ほどでした。ダンスものってことでゲイネタも必須。このあたりは追ってじっくりと。

そうよ。この話でNHKグラチャン大会を思い出したのだ。もう試写まわってんの? 早く観な
くちゃ。

> こういうシーンって、古今東西、映画ではよく出てく
> るので、はっきり言ってゲイの目から見たら、「またか……」って感じ。

そうか。私はたいていウケるんだけれど、珍しくダメでした。『アメリカン・サイコ』自体に
不快感を持ったせいかも。全体に漂うビンボウ臭さがさあ、なんとも……。どうも『ファイト
・クラブ』と原作がだぶっちゃうんだけど、確かどっちも主人公の板についた金持ちぶりが、
オチだとかなんだかの悲壮感・絶望感・地球ってもうだめかも感を高めていたように思うので
すが、この映画のビンボ臭さはなんだ。途中で見えてきちゃうビンボウ感がとっても哀しいの。

> カッコいい自分に惚れる=典型的ナルシスト。自
> 分=男に惚れる、というゲイ要素につながるのよ。クリスチャン・ベールの肉体美も含
> め、細かい部分に目をつぶれば、ゲイ観客にとっては、かなりポイントの高い一作だと
> 思う。

なるほど〜。ところで、クリスチャン・ベール自体ってゲイの人に人気高いの? 完成披露で
見たんだけど、オバサンたちもベールが早く観たい〜とかって話していた。私が思うにオバサ
ン好みとゲイ好みって非常に近しいものが……女性がナル化するのはオバサンの始まりだから
さあ。

でねでね、『偶然の恋人』って興味なかったんですが、結構楽しそうな映画じゃん! 例によ
ってグウィネスだからどーでもいいやって思っていたけど。セクハラシーン目当てに観てみよ
うかな。

> 薄手のポロなどで、乳首目立たせまくってたわ。こっちの方がセクハラって話も。
> そんな脇の要素を差し引いても、『偶然の恋人』は、ベン&グウィネスの複雑なラブス
> トーリーを、自然なセリフと感情の流れで見せて、けっこうポイント高いと思いました
> わ。

ち、乳首ですか。ところで質問ですが、よく原稿にゲイファッションの話を書いてくださいま
すよね。世間の人も「ゲイっぽい格好」とか言いますけど、いったいどーやって見分けるの?
 言われれば「そうなのか〜」と思うけど、自分から「これぞゲイファッション!」って思う
ことがあんまりない私なのでした。もともと服にゃ疎いけど。



2001/5/1 ハヤセ→斉藤 Mail.5
題名「理由」

すんません、いっときあいてしまいまして


> そ、そ、顔と肩幅のバランスが青年になってきて。子役から美形俳優に成長できるか、
> 勝負のときですね。ジャニーさんだったら、すでに見極められているはず。

その見極めがねえ〜。香取くんがあんな顔に成長するとは夢にも思わなんだ! 


> 。そして、どうやれば同じゲイにアピールできるのかも心得ている。ノンケ男が「女の
> 気持ちは分からない」ってのとはワケがちがう。で、なにが見たい(見せたい)かとい
> えば、肉体。すなわち鍛えた胸や二の腕のラインが分かるような、

ああ、わかりやすすぎる説明。なるほどねえ。『非・バランス』にもゲイのコが出てくるんだ。
最近は邦画でもかなりの割合で出てくるね、ゲイネタが。

この書簡を始めた3年ぐらい前は、「あっ、こんなところに隠れゲイ」っていうテーマもある
よねって言っていたんでしたっけね。それがこんなに、ねえ(しみじみ)

ところで、私は今宮崎勤の本を読んでいるところなんだけど(吉岡忍さんのやつ)ね。吉岡さん
だからさ(笑)、彼の生活史や3種類の精神鑑定なんかをしらみつぶしにつぶして、“理由”を
探る、その過程が書かれている。

(ここで39条の話だとかジェンダーの話だとかに入り込み迷宮入りしてしまったのだ)

……で話はちょっとおいといて、この連休になにをしているかというと昔の邦画のビデオを見
ていたりします。山田太一の『家族』とか。

で、自分が最近の邦画に非常に不満なのがなんなのか、我ながらはっきりしたわけ。「理由」
が明確じゃないんだよ理由が。原因や背景はわかるんだけど「理由」がわかんない。納得でき
るかどうかじゃない。理由がわかんない。どの映画もそう。どれを観てももやもやした気持ち
ばかり残って、

前に某所でも紹介した乃南アサの『涙』を読み返したんだけど、前にちらちらーっと読んだと
きはオモロイと思ったのに、ちっとも面白くなかった。逃げてる男の逃げてる「理由」があま
りにもくだらん。乃南さんの本をずらずらと続けて読んだんだけどみんなそうだった。理由が
つまらん。しかしそれは「私にとって」ということであってこの人は「理由」に立ち向かって
いる人なのだと、それはわかった。

だけどわからんものには立ち向かいようがないんだよ〜。『アタック・ナンバーハーフ』でち
ょっとだけ不満だったことがあって、ジュンちゃんというキャラが私は大好きなんだけれど、
それこそ「理由」がなんかよくわからんかった。それは映画だから思い切り省かれてしまって
いるのかもしれないけれど、あの両親、あのキャラの出所がちょっともやもやしていたの。

このへんがしかし、ゲイの出方として新鮮だなって思ったのだけれど、もしかして一部の人に
はロマンを感じさせないのかもしれないと感じた。その杞憂が関西で不発という結果なのかも
しれない。

ゲイにロマンを求めている人は多いのかも。



2001/5/5 Mail.6
斉藤→ハヤセ
題名:ロマンあふれるキャラ

本当におひさしぶり。復活していただいてうれしい限り。公開中の映画を交えて。

>で、自分が最近の邦画に非常に不満なのがなんなのか、我ながらはっきりしたわけ。
>「理由」が明確じゃないんだよ理由が。原因や背景はわかるんだけど「理由」がわか
>んない。納得できるかどうかじゃない。理由がわかんない。どの映画もそう。どれを
>観てももやもやした気持ちばかり残って、

よく分かります、そのお気持ち。自分の国の映画というのは、そういった「ハンデ」があると
思うのよ。キャラへの親近感がある分、行動の理由や動機を深く追求してしまう気がしないで
もない。『非・バランス』のオカマちゃんたちも、日本人だからあまりにも“近すぎて”見て
いて気恥ずかしくなってしまう部分もある。

でも、そのハンデを差し引いてもダメなものはダメ、ってのが日本映画には多いわね〜、たし
かに。ゲイものではないが、たとえば『みんなのいえ』。ユニークな状況のためだけに、スト
ーリーが作られているみたいで、人々の行動の「理由」は二の次。俳優たちのオーバーアクシ
ョンをただ笑っていればいいのかもしれないけれど、必然性の少なさに、さめてしまった。日
本映画、このパターン、多いですよね。

「理由」をはっきり示さなくても、映画としてのスタイルがきっちり確立されていれば、伝わ
ってくるはず。でもそうじゃないと、なつかしや「新春かくし芸」のドラマと変わらない気が。
念のためですが、『みんなのいえ』は笑っている人も多かった。

> 『アタック・ナンバーハー
>フ』でちょっとだけ不満だったことがあって、ジュンちゃんというキャラが私は大好
>きなんだけれど、それこそ「理由」がなんかよくわからんかった。それは映画だから
>思い切り省かれてしまっているのかもしれないけれど、あの両親、あのキャラの出所
>がちょっともやもやしていたの。

この映画に関しては、ゲイ映画を見慣れた目からすると、かなり物足りない部分が多いのは事
実。「タイ映画」「事実をもとに」「ゲイがいっぱい」ということで大目に見ちゃった。戯画
化されたスポ根として割り切って作っている姿勢があるような気がして、ジュンちゃんの理由
にもあまりこだわらなかったけれど……。ただ、オカマギャグに関しては、やはり日本、とく
に関西の笑いに比べると、かなりサムい。どこまで温かい目で見られるかが問題。

もう終わってしまうけれど、今年のGW映画のなかには、2つの印象的なゲイネタが出てきま
した。そこにはゲイのロマン(っつーか、「おおっ」とうなる描写)があるの。『トラフィッ
ク』で、ベニチオ・デル・トロ扮する警官が、ゲイの殺し屋を誘うために、バーのカウンター
でタバコのなかにコンドームを入れてチラリと見せ、妖しい視線を送る。ベニチオの警官はゲ
イではない(と思う)けれど、その一瞬の緊張のかけひきに、ゾクゾクッとゲイのロマンを感
じたわ。

もうひとつは『ザ・メキシカン』で、ブラピやジュリア以上に光っていたジェームズ・ガンド
ルフィーニ。ジュリアを人質にする謎の男で、外見はこれまでの映画に出てきたステレオタイ
プのゲイとはまったくちがうタイプ。えっ、こんな男でもゲイでいいの?と思わせる。でも、
そこが大切なポイントよ。アンタの隣にもゲイはいる!ってこと。

そんな彼が旅の途中で男と恋におち、ジュリアに恋の説教をする。やはりゲイって、恋に関し
ては百戦錬磨。彼のセリフは、いちいち心に刺さるの。恋に悩む人は、男でも女でも、ゲイの
友人を持っておくべき。

こんな2つの設定・キャラなら、日本映画でも十分「理由」を納得できるはず、と思います。
ただ『ザ・メキシカン』、結末に関しては忸怩たる思い。せっかく、こんなにいいゲイ・キャ
ラなのに、あんなことに……。というわけで、ゲイがうまく描かれていながらも、映画界では
まだまだゲイの身分は低い。『チアーズ!』にも、等身大のゲイ君が出ていながら、差別発言
連発だし。でも、虐げられているからこそ、パワーも生まれてくるってものよ!



2001/6/27 Mail.7
ハヤセ→斉藤
題名「雑談モード」

スミマセン、やっと『KI』を観たので、続きです。

> 自分の国の映画というのは、そういった「ハンデ」があると思うのよ。

それか〜。『KI』も『TM』……あ、もういいのか『ココニイルコト』も『東京マリー
ゴールド』も、ちっとも納得いかない。自分が生まれて育ってきた国の話で、自分が通り
過ぎてきた同性の映画だというのに。

とくに『ココニイルコト』は「怒れ原作者!」と思ったら、かんじんの原作者は観て感動
して泣いたとエッセイに書いていた。なーんだいいのか。

そういえばこの映画って珍しくゲイが出てこなかったような。この映画は許し難い「関西
への誤解」があると思う。ついでに言わせてもらえば「札幌への誤解」も許せない。あん
な窓に積もるような雪は降らん。あ、別に主人公が札幌出身ってだけであれが札幌とは言
ってないか(^^;; 新潟かな、ああいう雪は(←皮肉)

で、思ったのは関西で『アタック・ナンバーハーフ』がヒットしなかったって話。

> この映画に関しては、ゲイ映画を見慣れた目からすると、かなり物足りない部分が多い
> のは事実。
(中略)
> 日本、とくに関西の笑いに比べると、かなりサムい。どこまで温かい目で見られるかが
> 問題。

関西の人のほうがこのへんにシビアなのか(^^;; 関西の人は案外「情」という面に対し
ても手厳しい人が少なくない。関西の研究は途中まですごく楽しかったのに、このあたり
のことに気づいてからちょっと苦しくなった。遊びに行くには未だにじゅうぶん楽しんで
るけど。

>『トラフィック』で、ベニチオ・デル・トロ扮する警官が、ゲイの殺し屋を誘うために、
> バーのカウンターでタバコのなかにコンドームを入れてチラリと見せ、妖しい視線を送
> る。ベニチオの警官はゲイではない(と思う)けれど、その一瞬の緊張のかけひきに、
> ゾクゾクッとゲイのロマンを感じたわ。

ほっほう。しかし私どうもこのベニチオって好きになれないの。でもまわりでは結構ハマ
ってる女性がいるね。40代女子で。斉藤さん個人的にはどうよ。
あとは最近キップ(・パルデュー)の支持率高いね。ベン・アフレックの記者会見も女性記
者が押し掛けたってね。

斉藤さん2人ともナマを間近に見たでしょ、どうだった? ベンってヤな奴?

このまま雑談になだれこむけど(^^;; 『メメント』のガイ・ピアースがよかった(うっと
り)。おかげさまでどんな映画だったか記憶にないワ。私ってこの手の犬顔が好みなのか
しら。エルエーなんとかいう映画のときより好き(ぽっ)

前知識ほとんどなしで観たんだけれど、不思議テイスト。結構かき乱されてしまった。全
米の興収top10にも入ってるんだね。巷で言われている「よくできてる」とかって感じは
あまり実感なかったけど、観客の心を乱すことは確かだわ。帰り道みんな険しい顔してた。

しかし意外と静かな映画だったのでお腹の鳴る音が徳間ホールに鳴り響いてとっても恥ず
かしかったぜ(^^;;

逆に思い切り鳴ったけど安全だったのが『ELECTRIC DRAGON 80000V』ね。まーやかましい
やかましい。でも漫画ちっくで楽しめた。上映時間の短さがいい。でねでね、私は初めて
「永瀬正敏ってステキ」と思っちゃった。へへ。



2001/7/3 Mail.8
斉藤→ハヤセ
題名「濃い男・薄い男」

どうやら思いっきり、ミーハー路線になだれこんできたようで。

>ベニチオって好きになれないの。でもまわりでは結構ハマってる女性がいるね。40代女子で。

そ、そうなの、なぜかねぇ。個人的には濃ゆくてダメだわ。カラダじゅう胸毛、というイメー
ジがあって、ベニチオ(本当の発音は「ベニシオ」なんだって)。迫ってきたら(あり得ない
が)、ちょっとこわいタイプ。だから“多くの”人に人気があるというのは理解に苦しむのだ。

「穴狙い」でベニチオ・ファンだった友人が「有名になってしまってくやしい」とは言ってい
た。それはなんとなく分かる。僕としては、『エクセス・バゲッジ〜シュガーな気持ち』での
彼は好き。誘拐犯なのにドジばかり繰り返し、頼りないところにキュンとさせられた。なんか
カワイイやつで。この人、コメディ路線も続けてほしい。

>『メメント』のガイ・ピアースがよかった(うっとり)。おかげさまでどんな映画だったか記
> 憶にないワ。私ってこの手の犬顔が好みなのかしら。

きゃあーーーっ(絶叫)! 『メメント』未見だが、たぶんガイ・ピアースのアップだけ見て
終わるんじゃないかと、いまからドキドキなのよ、じつは。いやぁ趣味が合いますなぁ。

いまじゃあまり聞かれなくなったが、昔は「好きなタイプは?」と聞かれたら「犬顔」と答え
ていたワタクシ。『プリシラ』の女装姿のときから、あの口、あの純真そのものの、つぶらな
瞳の虜になっておりました。ただ、個人的には、「洋犬」より「和犬」がタイプなので、最近
では、『ヤマカシ』のベトナム人の兄のほうがお気に入り。かなりマニアなノリだが、なんと
言うか“かわいカッコいい”タイプ。

で、永瀬正敏って犬じゃないよね? どっちかと言えば「は虫類」あるいは「魚類」系か。
『80000V』には、モロ手をあげて賛成。日本映画の顔とか言われながら、どうも官能性には欠
けるアサノ&ナガセが、この映画じゃ妙に色っぽかったもんね。コミックのキャラに感じられ
るようなオタク的エロティーク・フェロモンをふりまいていたわ。

って、どこ見とるんじゃ、って話も。

>あとは最近キップ(・パルデュー)の支持率高いね。ベン・アフレックの記者会見も女性記者
>が押し掛けたってね。
>斉藤さん2人ともナマを間近に見たでしょ、どうだった? ベンってヤな奴?

とんでもございません! ベン、好感度はなかなかでした。それが営業用なのか、単純な性格
なのかは不明だが、傲慢なところは微塵も感じさせず。小むずかしい質問が好きらしいのも、
インテリぶっているのか、または本当に頭がよろしいのか微妙。全体には、意外にもさわやか
な印象でした。映画で見るとおり、口が半開きの時間も長し。

キップはねぇ、まだまだスターのオーラが出ていない“ちょっとかっこいい”アメリカ人とい
う印象。いまはまだ映画のなかの方がカッコいいっすかね。インタビュー時も、謙遜して答え
る部分が多く、個性が出てくるのはこれからか。しかし、サンダル姿でインタビューに現れる
というラフさが見られたのはラッキー。スターになったら、このナチュラル・ビューティーは
失われていくのでありましょう。現在の「うすめ」の魅力を維持してほしい。あとは、肌のお
手入れ、もう少しがんばって。ヒース・レジャーとキャラがかぶるところが気になるが……。

そのキップの、線を細くしたような美形クンが出てくるのが、『焼け石に水』。公開が迫って
いるので触れておきましょ。フランスのワルガキ、フランソワ・オゾン監督最新作。

オゾン。いま僕が世界でいちばん好きな監督。ポップに、いじわるに、エロっぽさも満点に愛
を語れる男。毎回、好きなタイプの青臭い俳優を主役にしちゃう男。そのキップ似のマリック
・ジディ演じる青年が、中年男がナンパされ、彼との関係にのめり込み、そこに元彼女が現れ
……という愛のもつれを、舞台のような緊迫のセリフ劇に、歌あり、踊りあり、モッコリ(?)
ありで有無を言わさず展開させる。オゾン。ゲイならではのセンスって、いまいち分からない
人は彼の監督作を見るべし。



2001/7/7 Mail.9
ハヤセ→斉藤
題名「男の変遷」

昨日のヴァン・ダム仰天発言には驚きました。へさべさの衝撃。テンコー最近、ちょっと目が
うつろで(化粧が濃くてよくわからないけど)挙動不審だよね〜。ヴァンダムじゃ
なかったらやっぱりキアヌ? 女性自身的にまたまたワクワクです。

> 「穴狙い」でベニチオ・ファンだった友人が「有名になってしまってくやしい」とは言っ
> ていた。

穴狙いか、それはよくわかる。人気上昇度が急激すぎたからなあ。『エクセス・バゲッジ』と
はもう、目つきが違う。人気者の目になってるよねー最近は。しかし私はスペインのアイドル
(と言われている)ノリエガくんの魅力も理解できんのよ。濃すぎて。

> きゃあーーーっ(絶叫)! 『メメント』未見だが、たぶんガイ・ピアースのアップだ
> け見て終わるんじゃないかと

身体もステキよ(ぽっ)。もみ上げが、たぶんわざとだと思うけど左右非対称なので、横顔の印
象が右と左とでまた違うの。私は短いほうのもみ上げの顔が好き。

しかし『メメント』はもう一度観なくては(^^;; ラストもろくに憶えていない。
……てゆーかそういう映画? 迷宮に入るというのか。

私もタイプは和犬かなあ。私って、岸谷五朗がかなり「タイプ」のようなんですが(^^;; こ
の顔はどっちかしら。あとは『イル・マーレ』の男の人。根津ごんぱち?じんぱち? とにか
く若い頃に似てない? 雰囲気だけかな。

そういえば『イル・マーレ』のワンコって誰かに似てるよね。誰だろうとずっと考えていたん
ですが、もしかして三國連太郎かもしれない(^^; いやそうじゃなくて、もうちょっと若手で
いたような。

ちなみに、これまで「イイっ」と思った男のリストを順番にあげておきますと(since昭和40年
代)

太田博之
ずうとるび・新井
ジャンボ鶴田(この時代は長い)
ロバート・レッドフォード
アル・パチーノ
ジョン・ローン
ヤクルトの水谷新太郎(今はコーチ)
レオン・ライ

……という具合に一貫性がないの。このリストに最近は岸谷五朗が加わろうとしているわけで
すよ。そうそう、あんなに騒いでいたカネシロくんだとか、ハリソン・フォード(アメリカン
グラフィティだけね)というようなゆきずりの人はこのリストには入らないの。


結局私の好みの顔はアジア系というところで落ち着きそうなので……『ヤマカシ』のベトナム
人・兄ですね。チェックしておきます。ほほほ。

>『80000V』には、モロ 手をあげて賛成。日本映画の顔とか言われながら、
> どうも官能性には欠けるアサノ&ナ
> ガセが、この映画じゃ妙に色っぽかったもんね。

これは面白かった。浅野くんって顔つきはエッチくさいのに、映画のなかだとなぜか普通なん
だよね、カッコイイんだけど。若いからテレがあるのかもね、身体もイイのに。あの胸毛がよ
くないのかしら(よけいなお世話)

永瀬は……なぜあれに限ってピンときちゃったのか自分でも不明なんですが、ふっきれかたと
か、そういう部分に共鳴したのかもしれない。この人さ、セリフ言うときお口がちょっと得意
げにぴくんってとんがるじゃないですか。それがイヤだったんだけど、本作に限ってはなぜか
「カワイイっ」と思った。

……で異国人の方々に話は戻りますけど

> とんでもございません! ベン、好感度はなかなかでした。それが営業用なのか、単純
> な性格なのかは不明だが、傲慢なところは微塵も感じさせず。

そうなの〜!? 芸能人って多少「ヤ」な奴のほうがのし上がり率は高いと思うんだけど、ハリ
ウッドスターの場合はよくわからんねえ。日本の芸能人と違ってヤな面がみえる前に帰っちゃ
うというのもあるのかもしれないけど。

昔と違って日本が大マーケットだってことをみんなよく分かっているのかもしれない。大昔だ
けど、私とっても機嫌の悪かったスティングにデコピンされたうえ「ふぁっきゅー!」と言わ
れたわさ。だから映画にスティングが出てくると「いつか仕返ししてやる」と私怨に燃えてし
まう。

そういえばハリウッドの人で「こいつヤな奴だなー」って思ったことあんまりないな。香港映
画人もみーんなとってもいい人だよねえ。少しおかしいんじゃねえの、なんか裏があるんじゃ
ねえの、ってぐらいいい人ばっかり。

キップは「薄さ」が魅力か。一度ヘンな女にヘンにされたほうがいいねえ。ヘザー・グラハム
にポイ捨てされたヒース・レジャーのほうが今はぬきんでた感が。……って彼らの私生活はよ
く知らんわけですが(^^;;

私としてはブラッド・レンフロの「堕ちてゆく私生活」に興味しんしんですね。どんどんヘン
な顔になっていく。でもこの地獄を抜けて、きりっとイイ顔でもう一度スクリーンに登場して
ほしい。この子かなり好き(^^)

そういえば『リトル・ダンサー』のジェイミーくんはもう映画には出ないと発言したようです
よ。「あの人はいま……」になっていくのかな、ダンスは続けてほしいけど。
一度ぐらい話聞いてみたかったですね。

で、オゾン監督ですけど、

> いま僕が世界でいちばん好きな監督。ポップに、いじわるに、エロっぽさ
> も満点に愛を語れる男。毎回好きなタイプの青臭い俳優を主役にしちゃう男。

やっぱし(^^;; あのほら、森に死体を隠す話、ええとええとタイトル忘れちゃった。『クリ
ミナル・ラヴァーズ』か(これは公開メールなのだとふと考え調べました(^^;)のずぶずぶには
まっていってしまう高校生! これもその1人ですかね? この子はいまどうしているの。

オゾン監督は愛をもつれさせたら天下一品だね。『クリミナル〜』もね、「あらすじ」書き起
こすとなんでこの話がこうなるのか、って映画なんだけど、あまりにも独特な世界でぐいぐい
引き込まれた。短編だと好きなのは『海をみる』? バックパッカーのヘンな女と赤ん坊の話
(←だいぶはしょってる(^^;;

監督の性別で映画をどうこう言う気はないけど「あれ?」と不満な感じを抱く愛のもつれ映画
はたいてい女性監督が自分で脚本書いている、あるいは原作も女流作家というパターン。どう
してそこをもつれさす〜! という、これはたぶん自分の過去の体験と感覚的に違う部分で物
語がもつれてしまうのが不満なんだと自覚しているが。

むしろ男性のほうが、女性の世界に豊かなイマジネーションを抱いてくれているような気がす
るです。あ、また男女サベツ発言だ(^^;; ホント女ってのをわかってねえなあと思ったのは
最近だと『風花』ぐらい。うっとり線香花火する女って……(以下自粛)

自分のなかに確かに「同じ女性じゃない分かって!」という甘えみたいなものがあるんだと思
う。それを満たしてくれる女性監督に巡り会いたくて今年も名古屋の映画祭に行こうと考えて
いるんだけど。

ま、もうそんなことはあきらめてゲイの監督が撮るやつを片っ端観たほうがいいかと。

『焼け石〜』未見なの。なぜか私『ロマンスX』と混同してしまって。ユーロスペースだから
『チェブラーシカ』観に行ったらそのままハシゴしよう。ジディくんですね、チェックしとき
ます。



2001/7/14 Mail.10
斉藤→ハヤセ
題名「夏の男たち」

いきなし、「男の変遷」って、アナタ……。僕も対抗して、と一瞬思いましたが、どうも容易
には整理ができそうもない。宿題としてとっておきましょう。テンコーの話題も、かなり期待
していたのに、急激に尻すぼみですね〜。いまさら「狂言」だったら、どうしてくれよう!!

> 私もタイプは和犬かなあ。私って、岸谷五朗がかなり「タイプ」のようなんですが(^^;; >
> この顔はどっちかしら。あとは『イル・マーレ』の男の人。

ふむふむ。顔的には「品のいい雑種犬」という感じですかね、イ・ジョンジェ。先日のインタ
ビューでは、前日の深夜に場所変更の連絡が入り、「なんでや?」と思っていたら、どうも配
給会社が彼を見くびっていたらしく、韓国では、いまや相当なスターさんらしい。で、急遽、
Tホテルのスイートルームに変更されたのだ。

この人、『イルマーレ』のなかでは、純情無垢、木訥、恋愛は苦手。そんな“汚れていない”
ところがいいなと思っていたのですが、実物のジョンジュがいる部屋に入ったことろ、そこに
いたのは、“超売れ筋ホスト”。フェロモンぷんぷん。アクセじゃらじゃら、の男。でも、そ
んな派手さが板に付いている男。以前、チョン・ウソンのときもそうだったが、韓国の俳優っ
て、売れるとこうなっちゃうのか……。ピタッとした黒のパンツに、胸元はだけた白のドレス
シャツ。役とのギャップに驚いたが、でも、話していると、嫌味はなく好男子でしたわ。質問
に答えるときは、必要以上に相手の目をじーっと見据えちゃったりしてくれて。もし彼のこと
タイプの女性ライターだったら、その場で失神していたかもってくらい。なかなか楽しい経験
をさせていただきました。でも、ホントは「イルマーレ君」に会いたかったのだが……。

> 私としてはブラッド・レンフロの「堕ちてゆく私生活」に興味しんしんですね。どん
> どんヘンな顔になっていく。でもこの地獄を抜けて、きりっとイイ顔でもう一度スク
> リーンに登場してほしい。この子かなり好き(^^)

そうなのよっ! 『ゴストワールド』見た? 主人公の女2人に、いいように運転手がわりに
使われる、さえないコンビニの店員役なんだけれど、別に役作りではあるまいに、もう、太っ
ちゃって……。『マイ・フレンド・フォーエバー』の美少年、『ゴルデン・ボーイ』の魔性の
魅力、そんなものカケラもなし。フィリップ・シーモア・ホフマンとか、そんなのになりそう
な気配。ある意味、将来が楽しみになってきた。

ところで最近、夏休み映画でオススメは?という質問を受けることが多いけれど、迷わず『チ
アーズ!』と答えてしまうワタクシ。どうしてゲイって、採点スポーツとかダンスが好きなん
でしょうかね? 今年は、そんな“ダンスもの”“スポ根ヒロインもの”映画がけっこうあっ
てゲイ映画ファンにとっては、楽しい夏よ。まぁ『チアーズ!』はゲイでなくても十分楽しめ
ると思うけれど。チアリーディングにスポ根という要素がハマりって、おもしろすぎ。飛行機
の機内上映を入れたら、すでに6回は見てしまった……。

キャプテンの座をめぐる女同士の争い。振付の盗作疑惑をめぐるライバル校との争い。チーム
メイトの兄とのロマンスと、『チアーズ!』の要素は、ただでさえソソられるものばかり。そ
のうえに、前にも書いたが、チームメイトには等身大のゲイ君が登場。やっぱ、ゲイって演技
して自分を見てもらいたいってのが本能なのか。でも、チアリーディングって想像以上にパワ
フルで、男は、縁の下の力持ち。女の子を持ち上げて、投げ上げて。影の存在だから、ゲイが
やるには物足りない競技かも。でも、ここのゲイ君は、自分の個性を隠すこともなく、まわり
のメンバーもそれを自然に受けとめていて、なんかさわやか! 全国大会では、他校の男子と
知り合っちゃったりしちゃうのよ。“ゲイ競技人口”の多さ、恐るべし。

ゲイが多いと言えば、ダンサー。「石を投げればゲイに当たる」と言われるくらい。すでに公
開終了した『センター・ステージ』でも、黒人のゲイ君が堂々とカムアウトしとりましたな。
まぁこの映画はゲイ要素というより、役の座を狙うダンサー・振付家の確執などバックステー
ジがリアルに描かれ、そんな火花バシバシの状況に、乙女ごころは興奮するってところか。や
っぱり、同じようにダンス、オーディションを題材にした『セイブ・ザ・ラストダンス』は、
残念ながら、そのあたりは希薄。他の部分、たとえば恋愛、人種問題なんかはうまく描かれて、
ドラマとしてはおもしろいんだけどね。

『王は踊る』も、男同士の愛、そしてダンス。この映画、作曲家リュリのルイ14世への秘めた
愛なのだが、この手の映画としては基礎的。わりと初心者向け。女と寝るルイの横で、雰囲気
を盛り上げるため、リュリが音楽を奏でたりしちゃって。あぁ、この届かない想い。でも、好
きな男がヤッてる側にいられるのが、せめてもの救い。なーんてことを思ってるんでしょうね、
リュリ。描き方はヤオイ系。リュリの遊び相手となる、超美形の若者なんて、まるで竹宮恵子
のマンガから抜け出てきたよう。その手の映画好きなら、そこそこ満足できると思いますが、
どうでしょ?



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